米Vantiq(ヴァンティック)日本法人は12月10日、記者説明会を開き、7月に就任した佐藤知成新社長が事業戦略を説明した。生成AIの登場以来、同社が提供するリアルタイムデータを活用したアプリケーションの開発基盤のニーズが高まっているとし、パートナーとの連携で事例の創出を図るとした。
同社の基盤は、センサーなどのIoT機器やさまざまなシステムから収集したデータを用いて、ローコードによってアプリを作成できる開発環境を提供する。データをストレージにためることなく同基盤上で処理し、アプリに受け渡せるためリアルタイムのデータを活用できる点が特徴。生成AIと組み合わせたアプリの開発で顧客を広げているといい、洪水発生時にはアラートの発出に加え家族の安否情報を生成AIを組み込んだチャットとの対話で把握できるアプリなどのユースケースを紹介した。
佐藤知成 社長
佐藤社長は「日本法人は2015年に設立したが、コロナ禍によって思うように事業が展開できていなかった。ただ、ここにきて生成AIの急速な普及とともに当社の基盤の必要性が高まっている。グローバルと国内の成功事例を横展開しながら生成AIとの連携で実績をつくりたい」と意気込んだ。
重点施策として、医療や防災、防衛、製造、エネルギー、スマートシティーをターゲットに位置付け、政府が推進する「Society 5.0」と連携しながら事例を拡充する。
パートナーとの連携を重視することで拡販を進める方針。すでに国内の大手SIerと戦略的パートナーシップに向けた契約の交渉を進めており、引き続きエコシステムの拡大を目指す。各業界に即したパートナーシップの構築に注力し、パートナーの商材と同社の基盤を組み合わせたソリューションを業界ごとに開発して市場を拡大する。パートナーに対する技術支援などを通じて、人材育成にも力を入れていく。
(大畑直悠)