インターネットイニシアティブ(IIJ)は企業のマルチクラウド利用を通じたDX支援を加速させる。1月16日に記者会見を開き、企業のDX推進を支える戦略「DX Platform(DXP)」と、戦略の中核となる概念「マルチクラウドMSP(マネージドサービスプロバイダー)」について説明した。マルチクラウドの構築から運用までに必要なサービスの展開を強化し、マルチクラウド利用を容易にする。第1弾として、マルチクラウドMSPから監視運用に関する二つの新サービスを同日付で提供することも発表した。
北村公一 取締役
同社はこれまで、エンドポイントを軸にセキュリティーやネットワーク機能を提供する「デジタルワークプレース(DWP)」を打ち出してきたが、企業のDX推進をより支援するため、マルチクラウドに対象を広げたDXPに戦略を刷新。取締役専務執行役員の北村公一・ビジネスユニット長は「DXを進める上で、マルチクラウドは欠かせない要素だが、運用が難しいといった声がある。DXPを2024~26年度の中期計画の中核に据えて、企業のマルチクラウド運用を支援していく」と語った。
マルチクラウドMSPの対象となるパブリッククラウドは、自社の「IIJ GIO」のほかに「Amazon Web Services」「Google Cloud」「Microsoft Azure」などで、同社はこれらのクラウドサービスの導入に豊富な実績があるとアピールする。また、マルチクラウドを活用するために必要な要素として「ビジネス戦略・計画」「組織・人材」「導入(計画・構築・移行)」「環境」「オペレーション」「ガバナンス」「セキュリティー」の七つを定義しており、これらを基にした独自フレームワーク「IIJ CAF(Cloud Adoption Framework)」を設計。マルチクラウドMSPでは、CAFとクラウド導入で培った知見を活用して、各クラウド環境に合わせたマネージド型サービスを提供する。
吉川義弘 副本部長
吉川義弘・クラウド本部副本部長兼ネットワーク本部副本部長兼DXP戦略室長は「目的に応じてクラウドを使い分ける企業が増えている」と傾向を述べ、一方で「部門ごとにクラウドサービスを導入するケースが多いため、サイロ化による運用の非効率化、セキュリティーリスクの増加といった課題が生まれている」と指摘。製品だけでなく、専門家の知見も提供することで、課題解決を目指すとした。
今回、マルチクラウドMSPで新たに提供するサービス「IIJ統合運用管理サービス オブザーバビリティ」は、米Splunk(スプランク)のオブザーバビリティー製品「Splunk Observability Cloud」を活用して、クラウド環境の監視を行い、迅速な障害復旧などを実現する。もう一つの「IIJデータ可視化ソリューション with Splunk Cloud Platform」は、スプランクの「Splunk Cloud Platform」をエンジンに採用、IIJの各種サービスやオンプレ機器のログデータを一括して収集し、管理することができる。
(岩田晃久)