米Dell Technologies(デル・テクノロジーズ)日本法人は2月25日、2025年の新しいパートナープログラムを発表した。販売額が大きい上位パートナー向けに「グロースターゲット」と呼ぶ新たな目標値を設定し、PCとストレージで数値を超えた場合に大きなインセンティブを用意。ディストリビューター経由で販売するリセラー向けには、デルのPCを新規で販売した場合に高いインセンティブを支払うことで、「Windows 11」への移行を背景としたPCのリプレース商戦においてシェア拡大を目指す。
(堀 茜)
入澤由典 専務
同社のパートナー販売は、上位パートナーの認定を受けている72社による売り上げが全体の65%を占める。専務執行役員の入澤由典・パートナー事業本部長は「上位パートナーのうち、最上位レベルのパートナーのさらなる成長が全体を押し上げることになる」と説明。新設するグロースターゲットは現在15社ある最上位パートナー向けで、過去のPCとストレージの販売実績の平均値に、市場の予想成長率を掛け合わせて定める。法人向けPCでは達成で1.5%、ストレージでは2%のインセンティブを用意した。「体力も経験値もスキルもある大手パートナーと、さらなる成長を目指す」とした。
ストレージでは、最新製品への更新に関する取り組みを強化する。パフォーマンスだけでなくスペースや消費電力面でも経済合理性が高い点を顧客に伝えるようパートナーに求めていく。入澤専務は「付加価値の大きい製品を販売することで、より高いリベートを獲得していただきたい」と述べた。
パートナープログラムのもう一つの柱として、ディストリビューター経由で販売するリセラー向けの施策を強化する。25年10月に控える「Windows 10」のサポート終了を前に、PC買い替えの大きな需要が予想されている。シェア拡大のため、他社PCを販売していたリセラーが、リプレースでデル製品を販売した場合、新規顧客獲得に対しこれまでよりも高いインセンティブを支払う。デルの販売リセラーは約4800社だが、実際に取引があるのは半数程度。新プログラムによってパートナーの活性化を図る。「大手パートナーだけではすべての需要をカバーできない。販売の裾野を広げるためにリセラーに期待している」(入澤専務)と狙いを語った。
23年から国内でも導入した中堅パートナー向けの支援策「RISE」にも注力する。同社製品の在庫モデルをディストリビューター経由で購入、販売したパートナーにクーポンを発行し、次回の製品購入時に割り引きが受けられる仕組みで、24年の活用状況は前年比2倍となった。入澤専務は「新パートナープログラムとRISEを組み合わせて、よりいっそう、パートナーの利益につなげてもらいたい」とする。
間接販売の強化にあたり、顧客がメーカーや機種を選定する際に、サステナビリティーへの取り組みがアドバンテージになるとの考えから、同社はパートナー向けにサステナビリティーに関するトレーニングや教育プログラムを充実させた。入澤専務は「パートナー販売は当社の成長の根幹になる。パートナーごとに得意領域で販売を伸ばしてもらうことで共に成長していきたい」と展望した。