CAC Holdingsグループの国内中核SIerのシーエーシーは、重点事業であるプロダクト&サービス(P&S)の売上高が、計画の2倍に相当する100億円に拡大する見通しを示した。CAC Holdingsグループでは、自社開発製品・サービス、社外のパッケージソフト製品などを活用したP&S事業を重点事業に位置づけており、4カ年中期経営計画の最終年度に当たる本年度(2025年12月期)は50億円を目標に掲げていたが、大きく上振れする見込み(図参照)。シーエーシーによる独自製品・サービスの拡充や、有力ソフト開発ベンダーのM&Aが押し上げ要因となった。
22年12月期に始まった4カ年中計は、これまでP&S事業拡大を主眼に置いた18件の新規事業を立ち上げると共に、5件のM&Aを実施。24年3月にグループに迎え入れたシー・アイ・エム総合研究所は、金型などの個別受注向け生産管理システム「Dr.工程Family」を開発しており、P&S事業の伸びに貢献している。
シーエーシー独自の新規事業としては、魚の養殖業者が資金調達を行いやすくする養殖業向けFinTech事業の立ち上げを目的に25年1月、長崎県で「ながさきマリンファーム」を設立。地場の養殖業界の協力を得ながら養殖業に自ら参入して、魚の育成具合の鑑定や数量計算、給餌費用の分析などを行う「FairLenz」の開発に取り組む。「養殖している魚を動産と見なし、市場価格の動向や赤潮など自然災害のリスクを織り込んで資産価値を算定。金融機関が融資しやすいデータを生成する」(シーエーシーの佐別當宏友社長)ことで資金調達の円滑化を支援する。養殖業は土地などの不動産を融資の担保にできないため、動産である魚を担保代わりにすることで業界特有の課題解決に臨む。
また、シーエーシーが強みとする感情認識AIエンジンを実装した面接対策アプリ「カチメン!」は2万ダウンロードを超えており、就職活動中の学生の間では一定の認知度を得るまでに成長した。AIが表情と音声を分析し、面接担当者が抱くであろう印象を利用者に伝え、よりよい印象を与えられるよう繰り返し練習できるツール。この仕組みを応用すれば転職や営業担当者の育成にも役立つ。すでに営業担当者育成用ツールとして大手保険会社が採用するなど法人向けにカスタマイズして販売するビジネスも伸びている。
佐別當宏友 社長
ほかにも組織活性化を目的にランダムで1on1オンラインミーティングを行う「hashigake」も伸びる兆しを見せる。役職員のスケジュールを見て、例えば月2回に設定しておけば役職や組織に関係なくスケジュールが空いている者同士を定期的にマッチングして、最大20分の強制ミーティングを行わせる。名前も顔も知らない仲間との出会いがあったり、苦手だった相手でも1対1で話してみると意外に打ち解けたりと「実際にシーエーシー社内に導入して活性化の効果を実感できた」(佐別當社長)とし、今後は外販に力を入れていく。
(安藤章司)