パスワード管理製品を提供する米Keeper Security(キーパー・セキュリティー)のダレン・グッチョーネ代表取締役兼共同設立者とクレイグ・ルーリー最高技術責任者兼共同設立者が週刊BCNの取材に応じ、同社製品の特徴やパートナー戦略について説明した。グッチョーネ代表取締役は「(キーパー・セキュリティーの製品は)単に顧客の組織を守るだけでなく、チャネル(パートナー)やMSP(マネージドサービスプロバイダー)のビジネスをさらに強化することにもつながる」と述べ、パートナーへの支援にも積極的な姿勢を見せた。
ダレン・グッチョーネ 代表取締役
キーパー・セキュリティーは2011年設立。アジア太平洋地域を統括する法人となるKeeper Security APACが、23年に東京にオフィスを設置した。国内においては主にパートナーを通じて製品を販売しており、大手ディストリビューター2社や数十社のリセラーによるパートナーエコシステムも構築している。
グッチョーネ代表取締役は、組織におけるセキュリティー対策のあり方として、これまでは領域ごとに個別のサイバーセキュリティー製品を導入する多層防御でデータ漏えいを防止するアプローチが主流だったと振り返る。しかし実際には、製品同士の連携がきちんとできなかったり、それぞれの製品を別々の担当者が管理したりといった理由から、安全性や運用面で、製品間でのギャップが生じてしまっていたという。これにより、攻撃からの防御が十分にできないとの課題が存在した。同社ではこの課題に対応するため、従来のパスワード管理製品を発展させるかたちで、アイデンティティー管理とアクセス管理を一つのプラットフォームに統一し、「KeeperPAM(Privileged Access Manament)」として提供しているという。
ルーリー最高技術責任者は「元々、ユーザーのWebサイトやアプリケーションのアクセスを守るエンタープライズパスワード管理の製品を提供していたが、サーバーやインフラ、社内のアプリケーションに対しての特権的なアクセスの管理がしたいとの要望があった」ため、PAMの領域へ製品を拡大していったと説明した。
クレイグ・ルーリー 最高技術責任者
KeeperPAMは、サイバーセキュリティーの観点でアクセス状況の可視性を高めるだけでなく、コンプライアンスやレポーティングなどの面で網羅性や運用効率を向上させることができる。クラウドベースの製品であるため、社員数が数十万人規模の大手企業でも1日以内にプロビジョニングできるとしており、従来のPAMソリューションでは実装に数カ月、あるいは年単位の時間がかかってしまうのに対して、時間が大幅に短縮できるのも強みとなっているという。
販売パートナーの支援にも注力しており、公式のトレーニングやオンボーディングのサポートを用意しているほか、パートナーと共同での販売活動や、既存顧客における導入をさらに効果的に拡大するための支援などを展開している。今後もパートナー網は拡大する方針で、新たな代理店契約の締結に向けて多額の投資をしていくとした。
(大向琴音)