太陽ホールディングスグループのSIerであるファンリードは、製造業に焦点を当てたビジネスで売り上げを伸ばしている。製造業に強いSIerのM&Aを行うとともに、生成AIを活用した製造業向けナレッジ管理システムを独自開発するなどして事業を拡大。2025年3月期の売上高は、23年3月期に比べて2倍余りに増えた。▽ユーザー企業の新規事業の立ち上げ支援▽AI活用▽セキュリティー▽SIの―の四つを軸に29年3月期までに売上高をさらに倍増させる計画を立てる。
小林慶一 社長
直近3年間で新たにファンリード傘下に加わったのは、プロセス製造業に強いアペックス、組み立て製造業に強いエクシーズ、ITコンサルティングのRITの計3社。ファンリードと合わせた4社の売り上げ構成比は、太陽HDグループ向けが14%、グループ外の一般顧客向けが86%を占める。「製造業の太陽HDグループ向けのSI実績を基に、4社がフォーメーションを組んで外販ビジネスを伸ばしている」と、小林慶一社長は話す。
独自商材として生成AIによるSaaS型ナレッジ管理システム「STiV(スティーブ)」を開発。24年4月のサービス開始からこれまで製薬会社を中心に10社余りに納入してきた。雑多な社内資料から必要な情報を探し出したり、製薬で求められる各種の科学的根拠、厚生労働省からの通達など、「ユーザーが曖昧な指示を出しても、AIが的確に情報を探し出して提示する」(小林社長)仕組みを実装した。今後も製造業を中心に拡販を進め、29年3月期までに550の事業部門での利用を目標に据える。
小林社長は「新規事業、AI活用、セキュリティーの三つはユーザー経営層の目下の関心事」と位置付け、RITのコンサルティング力を生かした新規事業の支援や、STiVによるAI活用、関連するセキュリティーやSI案件の受注拡大を図るとしている。
(安藤章司)