リーガルテックベンダーのリセとGVA TECHはこのほど、製品の販売で業務提携し、両社の製品を組み合わせた提案が可能になった。競合するAIレビューの機能に関しては、顧客の要望に応じてそれぞれの製品特性に合った営業を推進する。製品間の連携を強化につながる開発も進める考えだ。
リセが提供するAIレビューツール「LeCHECK」は弁護士が監修した知見を持つAIを搭載している点が強み。一方、GVA TECHが法務業務自動化基盤「OLGA」内で提供するAI契約書レビュー機能は顧客ごとの審査基準の反映を得意としており、それぞれ優位性が異なる。
GVA TECHの山本俊代表取締役(左)と
リセの藤田美樹社長
リセの藤田美樹社長は「(両社の製品を売り分けることで)これまで応えられなかった顧客の要望を満たせるようになり、競合であってもトータルで考えればプラスになる」と説明する。また、リセはLeCHECKの提案の中で、OLGAの案件管理や文書管理といったモジュールとのクロスセルも推進する。
今後については、両社の製品間の連携性を高め、UXの向上に取り組む。藤田社長は「顧客からはAIレビュー以外の領域も最適化したいという中で、OLGAの名前がよく挙がっていた。製品連携はパートナーにとってもセット販売で単価を上げやすくなる」と話し、両社が積極的に進めているパートナービジネスにとってもプラスの効果を見込む。
リーガルテックベンダー間の連携について、GVA TECHの山本俊・代表取締役は「市場にはさまざまな製品がある中、ユーザーとしては法務業務のプロセスごとに、自社にもっとも合致した製品を選びたい。その際、複数のツールを切り替える手間が発生するのを避け、シームレスな体験を可能にするために、リーガルテックベンダー同士の連携は今後も進んでいくだろう」との見方を示す。両社は今後も競合を含むリーガルテックベンダーとの協業を視野に入れる考えだ。
(大畑直悠)