これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「リセ・藤田美樹代表取締役社長・弁護士」を取材しました。
争いは何も生まない
キャリアの始まりである弁護士時代に手がけた、ある企業間紛争の案件が、今もなお心に残っている。海外企業と取引していた日本企業が、思惑通りに利益が出ないため契約を解除した。その後、相手側から届いたのは違約金の請求。法律に関する知識不足から、契約を取り交わす際に契約書に盛り込まれていた不利な条項を見落としていたことが要因だった。
特に中小企業では、法律の知識に習熟した担当者がいないケースが少なくない。多額の費用がかかることから、契約書のチェックを弁護士に依頼するのも難しい。提供する契約書のAIレビューサービスは、こうした課題を念頭に、「契約の際に不利を被る企業をなくすこと」を掲げて開発した。重要なのは「そもそも紛争が起きる前に未然に防ぐことだ。争いは何も生まない」
品質と価格の両立に挑む
起業当初は製品開発に苦労した。「プロダクトづくりの基礎がわかっていなかった」ことに加え、自分一人の考えだけで完成させようとしていたから。真に求められるプロダクトを生むためには、それを使う現場の声が不可欠だということを見落としていた。それに気づいてからは、中小企業への聞きこみを徹底しプロダクトをつくり込んだ。
「よい製品は売れる」。常にそう思う。ただ、よい製品を目指してつくり込めば、当然コストはかさむ。高い品質を維持しながらも、どうコストを抑えるか。この問題こそ「経営者が挑むべき領域」だ。品質と価格を両立させてこそ、「よい製品」として多くの顧客の役に立てる。
企業のビジネスを守る
入社するメンバーには「入ってきてくれてありがとう」との思いしかない。「法律は企業が思いを込めたビジネスを守るために必要不可欠」。だからこそ「最高品質の法律サービスを世の中の隅々まで届けなくてはいけない」。この目標を共有した社員が集まることで、ビジネスは拡大し、より多くの顧客を支援できるようになる。
まだまだ道半ば。国内企業のビジネスを法律の観点から守るために、突き進む。
プロフィール
藤田美樹
東京大学法学部を卒業、米Duke大学ロースクールを卒業。司法試験合格を経て、2001年に西村総合法律事務所(現西村あさひ法律事務所)に入所。18年にリセを設立。
会社紹介
契約書のAIレビューサービス「LeCHECK」をはじめ、「Word」へのアドインで使える英文契約書の機械翻訳サービス「LeTRANSLATE」、契約書管理サービス「LeFILING」を提供する。