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日立システムズ、兵庫県でAIを活用した水道管の劣化状態分析を実施

2025/08/07 14:15

 日立システムズは8月6日、兵庫県内の水道事業体と連携し、「CYDEEN 劣化要因分析支援サービス」を活用して、水道管の劣化状態をAIで分析する実証実験を1月から3月に実施したと発表した。

 日本の水道管は高度経済成長期に整備されたものが多く、老朽化が進んでいる。近年、報道でも水道管の破損などの事故が多く見られるように、年間2万件以上の漏水・破損事故が発生しており、事故発生の未然防止や早期復旧対応を通じて、水の安定供給が求められている。しかし、水道事業体は水道局員・事業者の人手不足や給水人口の減少にともなう料金収入の減少による経営状態の悪化といった経営上の課題を抱えており、水道設備のメンテナンス作業の効率化や精度向上が急務となっている。限られた人員や予算を有効に活用するためには、事前にデータに基づいた精緻な調査を実施し、漏水発生リスクが高い水道管から対策していく必要があるといえる。

 今回、日立システムズは、インフラ施設や設備に関する維持管理データをAIで分析し、施設や設備の劣化要因と損傷状況などを予測するCYDEEN 劣化要因分析支援サービスを用いて、兵庫県内の水道事業体と連携して水道管の劣化要因と漏水発生リスクがある水道管を抽出した。

 具体的には、管種や敷設年度などの諸元データ、漏水履歴などの水道事業体所有データ、表層地盤などのオープンデータといった、さまざまな種類のデータを対象に、AIによる統計分析手法を活用し分析した。このAIによる統計分析手法は、日立製作所が開発したデータ分析技術を基にしており、東京大学大学院情報学環「情報技術によるインフラ高度化」社会連携講座で評価されたもの。異常状態を示すデータが少ない場合でも、データ同士の相関性などを見出すことで、損傷予測や影響度予測が可能となる。

 一般に、水道管の劣化は経年が主な要因と考えられているが、実証の結果、「耐用年数を超えている敷設年度の古い水道管でも、漏水発生リスクが低いものが存在する」「敷設から30年未満の比較的新しい水道管でも、漏水発生リスクがあるものが存在する」「敷設年度だけでなく、管種や管路延長、水圧、地盤などが総合的に水道管の劣化に影響している」ことを確認した。

 今回連携した水道事業体では、住民への影響を考慮しながら優先順位を付けて水道管を更新することで安定した水の供給を目指すとしており、今回の実証実験は、その方針に則った対応の一助になる結果となった。

 CYDEEN 劣化要因分析支援サービスを人手不足や予算不足に悩む水道事業体に展開することで、限られた人員や予算のなかでも、より効果的な水道管更新計画を立案できるようになり、さらなる水の安定供給に寄与する。
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外部リンク

日立システムズ=https://www.hitachi-systems.com/

「CYDEEN 劣化要因分析支援サービス」=https://www.hitachi-systems.com/ind/cydeen/item/degrading_factors/