日立システムズは、主力ERPの「FutureStage販売・生産管理」のクラウド版「FutureStageクラウド」の販売を2025年12月から開始する。業務ソフト開発の応研の開発フレームワークを活用し、ローコード/ノーコード方式でカスタマイズを簡素化。既存の業務システムや業務フローと柔軟につなぐことで中堅・中小企業ユーザーでも使いやすい販売・生産管理ERPに仕上げた。7月から先行受注を受け付けるとともに、販売パートナーの募集も始める。
FutureStageクラウドは、既存のパッケージ版をベースに、応研との戦略的協創パートナーシップに基づいて開発。中堅・中小企業向けのクラウド型ERPとして位置付ける。ソースコードを変更するカスタマイズではなく、ローコード/ノーコード方式によるパラメーターの変更やアドオン開発に対応するとともに、財務会計などの既存システムやサプライチェーンなどの業務フローと連携する能力に優れているという。
ソースコードに変更を加えないため、規制対応や最新OSへの対応など日立システムズによる定期バージョンアップを妨げず、「常に最新規制への対応やOS環境で動作する販売・生産管理が継続して利用できるメリットがある」と、産業・流通事業グループ産業・流通情報サービス第二事業部の橋本和人・事業部長は強調する。
(左から)橋本和人事業部長、小島正敬本部長
FutureStageクラウドでは販売方法も大きく変える。パッケージ版のFutureStage販売・生産管理は直販がメインだったが、FutureStageクラウドは間接販売に取り組む。パッケージ版は比較的規模の大きいユーザー企業に向けてこれまで通り拡販に力を入れていく。
パッケージ版の販売状況をみると、納入先全体の7割を製造業が占め、残り3割は流通卸の比率となっている。FutureStageクラウドでは販売管理機能を強化することにより、「製造業と流通卸のユーザー比率を半々にすることを想定している」(産業・流通営業統括本部第一営業本部の小島正敬・本部長)。間接販売チャネルについては、向こう5年で30社ほどの販売パートナーを募り、全国の中堅・中小企業ユーザー向けの販路網の拡充を推し進める。売り上げ目標については30年度に300億円、納入企業数350社を目指している。(安藤章司)