人事労務向けSaaSを展開するjinjerは9月10日、事業戦略に関する説明会を開き、冨永健社長CEOは、年内にもパートナープログラムを開始する方針を示した。直販中心の営業体制からパートナーとの協業を強化する方針で、FY(会計年度)2028の年間経常収益(ARR)200億円を目指すとした。
同社は現在、直販が9割近い比率を占めている。パートナーの数は少なくないもののプログラムは設けておらず、さらなる販売拡大に向けては、イネーブルメントや実装・顧客サポートの支援といった要素の充実が必要とみて、プログラムの創設を決めた。
パートナーの開拓も進め、SIerやディストリビューター、ISV、BPO企業、社会保険労務士など幅広く協業したいという。地方展開にも注力する構えで、大阪の拠点を中心に地場の金融機関やディストリビューターと協力して浸透を図る計画だ。
同社のソリューションは勤怠や人事管理、給与、タレントマネジメントなど多様な業務ごとに用意されている。全てが単一データベース上で運用されるため、複数のデータを活用した業務効率化やインサイトの発見を実現する。この「統合型人事システム」を差別化要素として訴求していく。
冨永 健 社長CEO
ユーザーコミュニティーの創設、カスタマーサクセスや開発部門の強化なども並行して進める。冨永社長CEOは「統合型のシステムで従業員の生産性を高め、可能性を開花させ、エンゲージメントも向上させる。それがわれわれの目指している世界だ」と話した。
jinjerは人材サービス企業の一部門として16年に事業を開始し、その後、21年に独立した。24年に投資ファンド2社が共同で全株式を取得し、経営陣を刷新。冨永社長CEOは25年5月に就任し、現状を「第二創業期」と位置付けている。
(藤岡 堯)