防災・危機管理ソリューションを提供するSpecteeがサプライチェーンリスク管理機能の提供に注力している。従来の自然災害や地政学リスクの情報プラットフォームに、SCM(サプライチェーンマネジメント)を組み合わせたクラウドサービス「Spectee SCR」をエンタープライズ向けに展開。製造業の中小企業向けに機能を限った製品も始めた。
村上建治郎 CEO
サプライチェーンリスク管理に関する実態調査の結果を12月11日に発表した。製造業に勤める500人が対象で、最も重視するリスクは2年連続で自然災害(63.4%)がトップとなり、直近1年でサイバー攻撃や政治政策、地政学リスクの重要度が上昇した。重視したい項目はサプライヤー情報の可視化や外部リスク管理が上位だった。 サプライチェーンのリスク把握は下請け企業などへの監査・訪問が主力で、SaaSの活用は1割未満という。村上建治郎CEOはサイバー攻撃リスクが高まる中、「営業関係はDXが進む一方で調達の部分はDX化していない」と指摘し、取り組みを強める考えを示した。
Spectee SCRではSNSや気象、衛星データなどから全世界のインシデント発生情報を把握。SCM領域ではサプライチェーン全体のリレーションを可視化し、災害時などにはサプライヤー周辺の状況を迅速に伝える。平時は生産計画の管理に加え、情報基盤やアンケートをもとにしたサプライヤーの拠点のリスク分析や予測を提供する。
導入は、グローバル展開が多い製造業で盛んだ。大企業で需要が多い。さらに8月には「スマートリスク管理」の提供を開始。▽リスク情報収集▽サプライチェーンの可視化▽自社製品への影響の把握―に機能を絞ることで、中小企業を対象にした。パートナーを通じた販売網を広げる方針だ。
(春菜孝明)