サンが自社最上位UNIXサーバー「サンファイア15K(通称Starcat)」、IBMが同じ最上位の「p690(通称Regatta)」を秋に発売して以来、両社の世界eビジネスITインフラ市場でのサーバー競合は熾烈となっている。

激烈なキャンペーン

 サンは01年頭以来業績が大きく落ち込み、Starcatで起死回生を狙う。一方IBMは、サンと本格的に競合できるUNIXハイエンドの投入で、サンの寡占シェア崩しを急ぐ。

 とくに経済失速、同時多発テロでハード市場が大幅に縮小している米市場では、他社シェアを浸食する以外に自社売上高を伸ばす方法はない。

 サンは追い上げてくるIBMを振り払おうと懸命だ。

 サンは、01年12月より米国IT関連新聞、雑誌を総動員してIBM対抗意識まる出しの「ストップ・ザ・IBMキャンペーン」を開始した。

 そのキャッチは「もし貴社がeビジネスITでIBMを採用するならば、貴社eビジネスは複雑怪奇となり困ることになる。絶対にIBMにeビジネスインフラ構築を頼んではならない」というものだ。

 わが国では決して公開紙上でお目にかかれないようなどぎつい表現を使ってIBM攻撃を行う。

 この理由をサンは次のようにキャンペーン紙上でユーザーに語りかけている。

 「IBMは14種類もの異なったOS、複数のチップアーキテクチャと複雑なミドルウェアをもっている。こんなシステムを構築できるのはIBMだけだ。このようなクローズドで錯綜したシステムはIBMだけしかコントロールできない。そのため、IBMを採用すると、ユーザーはその独占的サービスで高額料金を払い続けることになる」

 このように、サンはIBMを激しく攻撃している。そして今度は我田引水戦略をユーザーに次のように訴える。

 「1000ドル以下のデスクトップから1000万ドル以上のデータセンターまで、サンのシステムは複雑さを排除したワンチップアーキテクチャとソラリスというシングルOS環境を提供している。従って、ユーザーはスケーラブルなシステムを手に入れることができる。このアーキテクチャの純粋さはIBMでは実現できず、ユーザーが要求するTCO削減のために、すべてのITインフラにわたって共通のアプリケーション、ミドルウェア、管理ツールをサンは提供し、ユーザーは単一ツールで全アプリケーションを開発できる」

 サンの我田引水説明はさらに続く。

 同社は「IBMアーキテクチャすべてがユーザーにとって悪だ。eビジネスのITは複雑であってはならず、ユーザーを苦しめてはならないからだ。eビジネスを考えるユーザーは貴社自身が駆使できる1つの言語で語れる技術をもつサンを採用すべきだ」と結論づける。

 どぎつさは目障りだが、サンは自らの主張を正直に訴え、IBMを名指しで攻撃する。このサンの訴えによって、ここまでやらなければならないほどサンの窮状は大きいと、厳しい02年の米IT市場動向を知ることができる。(中野英嗣●文)