先端セキュリティ構築術

<先端セキュリティ構築術>第9回 クローンツール

2002/01/07 16:18

週刊BCN 2002年01月07日vol.923掲載

 自動車のコマーシャルなどでよく使われてきた “アクティブセーフティ”と“パッシブセーフティ”という言葉を記憶されている方も多いと思う。

 “アクティブセーフティ”とは、例えばアンチロックブレーキや居眠りの防止装置などのように、事故を起こさないようにするための機構のことを総称した言葉である。

 これをセキュリティに例えると、アンチウイルスソフトウェアやセキュリティの監査を行うようなソフトウェアを用いて、自らの重要なリソースを事前に保護することである。

 対して“パッシブセーフティ”とは、不幸にして事故が起こってしまったときに、その被害を最小限に押さえるような機構、エアバックやシートベルトのようなものを指す。

 セキュリティ対策でも、もし問題が発生した場合に速やかに元の状態に戻し、業務を滞らせないようにするための仕組みやソフトウェアが数多くある。バックアップソフトウェアや無停電電源装置、あるいはホットスタンバイサーバーのようなものがそれにあたる。

 しかし、この“パッシブセーフティ”にあたるバックアップソフトウェアなどについては、高価であったり、あまり必要性を感じないなどの理由によって、軽視されているのが現状だ。

 もちろん、これらが必要にならないというのが一番良いのだが、“いざ”という時の備えとしては非常に有効である。

 なかでもバックアップソフトウェアは手軽に導入できるのでお薦めしたい。

 これは目的別に2種類に分けられる。1つは、データだけのリカバリーを目的としたもので、一般的にバックアップといえばこれを指す。

 これは、DATなどのストレージデバイスを使用して定常的にデータを吸い上げ保存しておくもので、主な用途としては、システム以外のユーザーデータの保護を目的としてデータ保存する場合が多い。

 もう1つは、データだけではなくOSなどのシステムまですべてバックアップし、復元するという機能をもったものである。シマンテックの「Ghost」がこれにあたる。これはバックアップとしても有効だが、それ以外にシステム自体のスナップショットを取り、スナップショットを取った時点へ完全に復旧することが可能である点が特徴だ。

 この特徴から、バックアップではなく“クローニング”あるいは“ディスクイメージ”ツールなどと呼ぶ場合もある。

 双方共に、障害・災害復旧(ディザースターリカバリー=Disaster Recovery)、システムのアップグレードや新規コンピュータの構築などに使用可能で、さらにシステムまでのスナップショットを取っておけるクローニングの場合には以下のような利点もある。

 (1)複数台の同じ仕様(OSやアプリケーション)のパソコンを簡単に作成することができる。

 (2)OSやアプリケーションまですべての情報を復旧可能。いつでもインストール直後のクリーンな状態や安定使用していた状態にできる。

 (3)OSやアプリケーションのインストール時間を短縮できる。

 クローンツールは単なるバックアップとして利用するだけではなく、例えば社内でのITトレーニング機材のセットアップや新入社員のパソコンのインストール、新たなシステムやソフトウェアを導入する前のテスト用コンピュータの設定、あるいは納品用パソコンのキッティングなど、さまざまな利用法が考えられる。

 ぜひクローンツールを活用して、パッシブセキュリティとTCOの削減にも上手く利用してほしいものである。(シマンテック 法人営業事業部システムエンジニアリング第1部SEグループ・グループマネージャー 藤盛秀憲)

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