身につけたい社会人マナー スタートダッシュ新入社員
<身につけたい社会人マナー スタートダッシュ新入社員>第2回 せめて1冊はマナー本を
2002/04/08 16:04
週刊BCN 2002年04月08日vol.936掲載
早くも社会人生活の1週間が過ぎた。緊張と無我夢中の1週間であったことだろう。大手企業は新入社員教育真っ盛りだが、いきなり現場に出されている人もいることだろう。ここでは、後者の人たちを念頭に、社会人として心得るべき基本中の基本について、いくつかまとめていく。
社会に出るとは何か。親がかりから、自分で稼いで、自分で食べていくということである。いずれは家族を養わなければならない。なぜ子孫を残さねばならないかという哲学的思考は専門書に譲るとして、企業は社員に何を望んでいるかという点は一度は本気で考えた方がいい。
この点で示唆に富んでいるのは、松下幸之助署「社員心得帖」(PHP文庫)である。
経営者が期待する社員像が簡潔、率直に語られている。第1章の新入社員の心得の見出しだけ拾っておくと、運命と観ずる覚悟を、会社を信頼する、成功する秘訣、無理解な上司・先輩、会社の歴史を知る、礼儀作法は潤滑油、健康管理も仕事のうち、積極的に提言を、仕事の味を知る、自分の働きと給料、会社は公器の自覚を――となる。
「新入社員として会社に入ったら、まず何よりも“自分がこの会社に入社したのは、1つの運命である”というような覚悟をもつことが大切だと思います」。こうした一節から始まるが、経営者、つまり会社が期待する社員像というのは、時代とともに多少の変化はあるとしても、基本的なところは変わらないという点は断定してもいい。
本体476円と手ごろな価格だから、是非一読をお勧めしたい。
ついでに本の話をしておくと、入念な新入社員教育を受けている諸君はいいとして、そうでない人たちも社会人のマナー読本は1冊くらいは読んでおいた方がいい。
「礼儀作法は潤滑油」だから、人間関係を円滑にするためにも、基本的なところは押さえておくべきだろう。現在入手しやすい単行本としては、
●知識ゼロからの「ビジネスマナー入門」弘兼憲史著。(幻冬舎、本体1300円+税)
●常識が変わる「ビジネスマナー」日本経済新聞社編(本体1000円+税)
などがある。
基本マナーについては、諸説入り乱れるという世界ではないので、1冊読んで、咀嚼すればよいだろう。
昔は、「仕事は盗んで覚えろ」といわれたものだ。先輩の仕事を見よう見まねで覚えざるを得なかったものである。しかし、それでは時間がかかり過ぎるということで、新入社員教育が盛んになった。ただ、押しつけ教育は、個性を殺し、画一的な人間しか生まない恐れもある。
戦後、日本がここまで発展したのは、仕事を盗んで覚えようとする人たちが、そこに自分なりの工夫を盛り込んだからだともいえる。
「うちの会社は教育もしてくれない」などといわず、とにかく自ら修得する心構えをもつことだ。
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