大航海時代

<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第35話 日本立国は夢と終わるのか

2002/06/03 16:18

週刊BCN 2002年06月03日vol.943掲載

広島県産業科学研究所所長 水野博之

 ハイテクの分野で、勢力を増している韓国であるが、それではその産業立国の原点であった「繊維」はどうなったのかと言うと、これまた大変元気である。

 東大門、明洞、南大門あたりのショッピング街に行ってみると、日本ではあまりお目にかかれないようなファッション・ビルが立ち並んでいて、その多彩ぶりは驚くばかり。新しい韓国発のブランドが続々名乗りを上げていて、彼らに言わせると、「デザイン→染色→製縫」に至る一貫体制が成り立っている点では、「韓国はいま、世界トップだ」と言う。トップかどうかは知らないが、「トップクラス」であることは間違いないだろう。

 いま、韓国の繊維は、下請けから自立への道を大きく踏み出している。最大のライバルは中国であろうが、中国が韓国の強敵となるにはまだまだ時間がかかるように感じられる。時間だけではない。中国はその中華思想を捨てないといけないだろう。

 ファッションの世界での中国は極めて異端であることを素直に受け止めないといけないだろう。韓国は見事にそれをやり遂げた。そこには世界のありとあらゆるものがある。こんなに世界中のものが集まっているという点では、韓国はユニークではないか。

 それに比して、日本はどうなんだろう。確かに世界的なデザイナーがいることはいるのだが、それが日本の繊維産業の活性化に結びついているかというと、とてもそのようには見えない。結果として繊維産業は惨憺たる状況になった。

 新しいデザイン物は韓国が主力となり、コストの安い汎用品は中国製というパターンが定着した。日本人のほとんどは、韓国製か中国製の服を身にまとうことになった。やがて、エレクトロニクスも車もそうなるに違いない。そうなれば、日本立国の余地はなくなってしまうであろう。(韓国・東大門にて)
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