WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第109回 世界のホスティング需要

2002/06/17 16:04

週刊BCN 2002年06月17日vol.945掲載

 わが国はもとより、米国でも期待されながら長らく需要が活性化しなかった各種インターネット関連サービスプロバイダ(XSP)のホスティング(運用管理)市場が大きく動き始めた。

年50%以上の伸び

 米ヤンキーグループは、01年世界のホスティング市場は90億ドル(1兆1700億円)であったが、今後年平均54%伸び05年に当市場は500億ドル(6兆5000億円)になるとの予測を発表した。XSPの代表業種としてMSP(マネージドサービスプロバイダ)、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)などがあるが、これらが共通して利用するiDC(インターネットデータセンター)も、01年9月の米同時多発テロ以降、企業センターのバックアップ用として米国では需要が大きく広がりつつある。

 ホスティングにはサーバー設置場所提供のコロケーション、共用サーバー、提供のシェアドサーバーすべてのITインフラ運用を包括的に管理するマネージドホスティング、ネット接続のネットワークコネクティビティなどがある。これらホスティング市場の内訳は01年、05年それぞれ以下の構成比だとヤンキーグループは説明する。コロケーションは40%から20%へ、マネージドホスティングは35%から55%へ、ネットワークは20%から15%へ、そして共用サーバーは5%から10%へと変動する。これによると、05年ホスティング需要で最も大きいのはマネージドホスティングの275億ドル(3兆5750億円)で、これにコロケーション100億ドル(1兆3000億円)、ネットワーク75億ドル(9750億円)、サーバー50億ドル(6500億円)と続く。

 米国では新興ホスティング会社の多くは、その代表であったエクソダスをはじめ倒産してしまった。そのため米国企業は経営基盤の堅いIBM、EDSあるいは巨大通信会社系ホスティング会社を選ぶようになった。通信会社系は高速通信インフラ事業の付加価値を狙って各種ホスティングサービスを活性化している。ヤンキーのアナリスト、ボブ・フェラエン氏は、「企業はホスティング会社を使うことによって、1年間休みなしのIT運用を外部に委託することでコストが大幅に削減され、IT部門も緊張の連続から解放されることを十分に認識した。

 この需要はすべての企業規模にわたって急拡大している」と解説した。米国ではホスティングサービス市場動向に最も敏感なのは、これらサービス事業者を主力市場としてソフトを販売するソフト会社だ。その1社、チボリのマイク・トウォーエイ副社長は、「これまでホスティングサービスを利用するクライアントは圧倒的にIT社内体制の弱い中堅企業が多かった。しかし、大企業もホスティング利用のメリットをそのトライアルで十分に学んだ。このため02年からはエンタープライズ中心にホスティング需要が拡大する。これが年50%以上の需要伸長の大きな原因だ」と語った。
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