変わるかシステム入札

<変わるかシステム入札 第二章>アドビ システムズ

2002/08/12 20:43

週刊BCN 2002年08月12日vol.953掲載

 アドビ システムズは、同社の電子ペーパーソリューションを電子政府向けに販売する提案を積極的に行っている。石井幹社長は、「外資系企業だからこそ、グローバルスタンダードソリューションを提供できることが当社の強み」と話す。

世界標準のソリューション

 ――電子政府向けにPDFを活用したシステムの提案を積極的に行っていますね。

 石井
 行政は紙の依存度が高く、これを電子化していくという方針が掲げられています。当社ではそのためのソリューションを提案しています。

 一口に紙の電子化といっても応用範囲が広いので、あえてポイントを3つに絞ってアピールしています。1つは、紙を見た目そのままに電子化していくこと。2つ目は、しばらくは紙とデータの共存が続いていくことを考慮して、紙と電子データの行き来が自由にできるソリューションを提供すること。そして3つ目が紙を使って実施していたワークフローを電子化していくソリューションです。

 ――官公庁のホームページでPDFを活用している例は多いのですが、それよりも業務内容に深く入り込んだ提案になると思いますが。

 石井
 官公庁向けのシステム導入実績があるパートナーを通したソリューション提案を行っています。パートナーのなかには、アドビ製品をパッケージとして扱っていただけで、ソリューションとして提案しなかったところもあります。こちらからきちんと話をして、電子政府向けソリューションとしてアドビ製品の取り扱いをお願いしています。

 ――紙の電子化ソリューションは、日本企業もオリジナルの製品開発を行っていますが。

 石井
 アドビの強みは、グローバルスタンダードであることです。日本の官公庁も日本だけの閉じた世界ではなくなってきています。日本固有の製品ではなく、世界標準の製品を利用すれば、海外を視野に入れたソリューションを構築できます。

 ――官公庁や自治体向けソリューションは日本のベンダーが強く、外資系は参入しにくいということはないですか。

 石井
 外資系であることが障害になっていると感じることはあまりないですね。当社が参加する電子申請推進コンソーシアムには、多くの外資系企業が参加しています。このコンソーシアムでは岐阜県の電子申請実証実験を行っていますが、自治体にソリューションをアピールするには先進的で具体的な事例を紹介することが一番と考えて実施しました。反応は上々です。外資系だから参入に障害があると感じることは少ないですね。

(三浦優子)
  • 1