元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第14回 日本電算(下)

2002/10/07 16:04

週刊BCN 2002年10月07日vol.960掲載

GPS機能で新たな顧客獲得

 今年9月、トラック500台を使う医療機関向け配送会社に、即決で、携帯電話を使った位置情報システムの納入が決まった。

 この配送会社は、本格的な車載GPS(無線測位システム)を3年前に5億2000万円かけて導入したが、「携帯電話のGPS機能を使えば、今と同じシステムが5000万円でできる」と提案したところ、即、商談がまとまったという。

 通常、車載用GPSは1台あたり10-20万円。運送会社は、これをトラックに載せて効率よく車両を手配する。車載用GPS機器を携帯電話にすれば、そのコストは1台あたりわずか数千円。本部が使う管理用機材もパソコンで済む。

 山田秀之常務取締役は、「携帯電話だったら、本部から電子メールで指示を送れる。バーコード読み取り機を取り付け、商品の配送管理もできる。もちろん、電話もできる(笑)」と、(1)GPS、(2)バーコード管理、(3)電子メール、(4)電話、という4種類もの“格安複合機”の強味を訴える。

 日本電算は、もともと流通業に強い開発中心のシステム販社。今年4月から携帯電話を使った物流管理システムを立ち上げた。

 今年度(03年3月期)の売上高は前年度比66%増の5億円、経常利益1億円を見込む。昨年度はソフトウェアの受託開発が大半を占めていたが、今年度は、独自システムとして立ち上げた携帯電話関連の売り上げが半分を占める見通し。

 同システムは、意外な需要も掘り起こした。「GPS機能付き携帯電話そのものが安いため、たとえば遊園地で子供の迷子防止用に気軽に貸し出せる。また、全国100か所に店舗が散らばっている小売業で、同システムを使った勤怠管理の引き合いも来ている」という。

 前者は、そのままGPSの機能を活用する。後者はバーコード読み取り機で社員のコード番号を読み取り、リアルタイムに本部に送信する。月末に業務が集中する勤怠処理を日次で処理することで効率化を図る。

 同社は社員30人の開発中心の企業で営業力が弱い。同システムも、もともとASP方式で販売しようと計画していた。だが、ほかのシステム販社から「売らせて欲しい」との依頼が多く、パッケージを主体として売り始めた。

「すでに10社程度の販社と販売提携の話を進めている。うまく協力が得られれば、年度内に50-100件の案件を獲得することも夢ではない」と希望を膨らませる。(安藤章司)
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