大航海時代

<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第53話 寝不足の犬

2002/10/14 16:18

週刊BCN 2002年10月14日vol.961掲載

メガチップス取締役 水野博之

 いささか私事で恐縮であるが、私は小さい時から寝呆助である。暮れて辺りが暗くなるとすぐ眠くなる。家内には鳥族のDNAが紛れ込んでいるに違いないと言われているが、夜になると独りでに瞼が下がってくるのである。人より早く寝るために人より早く起きる。大体、明け方の3時には起きているのだが、現代人のようにすべてが夜型になると、朝3時なんていうと真夜中の頃合であるらしく、なかにはその頃に眠るという人もいて、なかなか調節が大変である。

 人間同士の場合はまだよい。目ざとい犬にとっては、どうもこのような族長はとてもたまらんらしい。大体、犬というのは16時間くらいは眠らないといけないと言われるが、皆が寝静まって、やれやれと自分も寛いでいたところに家の主人がノコノコ下りてくれば、これまた習性上、起きて御愛想をしなくてはならない。こんなことが続くと、犬もまたノイローゼとなる。犬のノイローゼを皆さん知っていますか?症状その1としては、主人を見ても、「どなたでしたか?」という顔をする。その2は、何をするにもノロノロしてきて、終わりには反応しなくなり、寝たふりをする。

 こんな犬を無理矢理に起こしてはいけない。そぉっとしておいてやることである。大体、動物と言うのは集団で生きるようになっている。仲間外れにされるのが一番辛いのであって、ノイローゼの犬を隔離して静かにしてやるのは最悪である。ふて腐れているように見えても、台所の片隅でウトウトさせてやるのがよい。「おい、こらっ」なんて構わないことだ。そのうちにまた元気なって尾を振って近づいてくる。人間だって一緒だ。一寸デプレスした人間に説教は一番いけない。そうか、そうかと言っておけばまた元気になる。そのための家族友人なのだ。(朝3時、宝塚にて)
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