視点

パソコン内蔵時計の精度を上げる

2002/10/14 16:41

週刊BCN 2002年10月14日vol.961掲載

 電波時計の普及が進んでいる。掛時計、置時計、腕時計の3タイプが各時計メーカから商品として販売されている。独立行政法人である通信総合研究所が、福島県の「おおたかどや山」と佐賀県の「はがね山」に設置された長波アンテナから、それぞれ40kHzと60kHzの電波を発信している。

 この電波を受ける機能を有する電波時計によって、時刻を1秒以内の高精度で自動較正できる。

 ところで、パソコンの内蔵時計には、機種によって大幅に誤差を生じるものがあり、度々修正しなければならない。

 私の使用しているパソコンの1台も、内蔵時計の誤差が大きく、上記研究所がサービスしているサイト(URL:http://www2.crl.go.jp/cgi-bin/JST.cgi)にアクセスして、定期的に時計を較正している。

 このURLでは日本標準時(JST)などに加えて、「あなたのコンピュータの内蔵時計」を表示して標準時との誤差も教えてくれるので大変便利である。

 ただし、ネットワークを経由する方式のため、アクセス時のネットワークの混雑度に影響されて確実に1秒単位の較正をすることは今のところ難しい。

 パソコンに標準電波の受信および自動較正機能が装備されていれば手作業で時計の較正をしなくても済む。ノートパソコンには無線LANが標準装備される時代であるから、コンピュータメーカで装備することを考えてくれてもよいと思う。

 ところで、長波電波の性質から、最近の鉄骨造のオフィスビルなどの内部では、窓際の近傍2-3mのところを除くと、この電波が受信できない。木造の住宅では問題ないが、パソコンを多用するオフィスで自動較正ができないのは困る。

 そのため、鉄骨造の建物内のいずれの場所でもこの電波が必要なレベルで受信できるシステムを商品化したが、まだ一般のビルに普及している段階ではない。

 一部の放送局の施設では開発が進められており、従来の親子時計システムに置き換わるものとして実用されることになった。

 インターネット取引が一般化する時代には、パソコンの内蔵時計の自動較正機能とそれを必要とする建物内において利用できる環境整備の必要性が高まっていると思う。
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