元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第16回 CRCソリューションズ(下)

2002/10/21 16:04

週刊BCN 2002年10月21日vol.962掲載

“農耕型”の受託ビジネス

 5年以内に年商1000億円を目指すCRCソリューションズでは、まず社内に「ビジョン策定委員会」をつくった。委員会はA委員会とB委員会に分かれ、前者は営業戦略を策定し、後者は人事評価や社員教育など社内制度を策定する。兼任も含めて委員会には数十人の社員が関わる。

 今年6月に社長に就任した杉山尋美氏は、「私なりのビジョンはあるが、私が全部決めてしまっては意味がない。社内に委員会をつくり、そこで年内を目途に方向を決めさせる。その後、来年1-3月を準備期間として、来年度から実行に移す」と話す。

 社内委員会でビジョンを策定することにより、社員の動機づけを強める考えだ。

 データセンターによる受託運営と、これにともなう受託ソフト開発が売り上げの7割を占める同社は、数多くの企業にハードやソフトなどの情報システムを販売する事業形態とは大きく異なる。

「ハードやパッケージソフトを売り歩くビジネスが“狩猟型”であるならば、当社の受託型ビジネスは“農耕型”。顧客も大手中心で、まず相手の業務をじっくり観察してからでないと、いいソフトはつくれない。今の年商約500億円を、1年で2倍の1000億円にせよというのなら、ハードの売り歩きをしなければならない。しかし5年で1000億円にするのだから、現行の農耕型ビジネスで十分いける」と話す。

 同社は、昨年8月、アサヒビールの情報システム子会社・アサヒビジネスソリューションズに49%出資した。これを受けて、アサヒビール本社から今年度(03年3月期)で11-13億円(見通し)の受託ビジネスを手にすることができた。

 情報システム子会社への出資に加えて、CRCグループの社員100人規模を投入し、アサヒビールの情報システムを丹念に学んだ。これにより最適なソフト開発と運営サービスが完成するという考え方だ。

 ファミリーマートの情報システムの受託運営に始まり、流通業向けの売り上げは180億円を超える(昨年度実績=構成比36.5%)など、同社は流通業に強い。

 だが、「小売り・流通のノウハウがあるとは言え、アサヒビールのような飲料系の業態は、まだまだ未知の部分が多い。まずは情報システム子会社に出資し、相手を十分に理解したうえで、翌年度から徐々に売り上げを立てていくのがCRCソリューションズらしいやりかた」だと話す。(安藤章司)
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