元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ> 第19回 デロイトトーマツコンサルティング(上)

2002/11/11 16:04

週刊BCN 2002年11月11日vol.965掲載

真のアウトソーシングとは

 デロイトトーマツコンサルティングは、アウトソーシングサービスの売上比率を、2005年度までに20%に引き上げる。同社は、コンサルティングを通じて、ERP(基幹業務システム)などの導入を推進しているものの、「業務改革、経営効果のコミットなしのコンサルティング・システム導入では、顧客の需要を満たせない」(加藤亮プリンシパル)として、システム導入後のアウトソーシングの受注に力を入れる。

 この不況下、コンサルティングといえども、「業務改革の実現はあなたの会社次第です」と、上流行程だけでさっと引き上げるのでは通用しない。

 デロイトトーマツコンサルティングは、もともとIT系のシステム構築に強いコンサルティング会社。「上流行程から入り、導入後の保守、運用支援など、システムインテグレータ顔負けの現場作業までしっかりやる」(加藤プリンシパル)のが売り。

 同社では、この強味を活かしてアウトソーシングサービスを積極的に推し進める。ここでいうアウトソーシングとは、人件費を抑えるために派遣社員を増やしたり、データセンターを借りたりといったサービス単価を下げるなどの日本型の単純なアウトソーシングではない。

 販売管理や財務会計、人事給与など、いわゆる企業の基幹系システムまで踏み込んでアウトソーシングする。

 例えば、A社の基幹業務一式をアウトソーシングする場合。ただ保守運用を受託するのではなく、アウトソーシングを受ける側が基幹業務の関連部門を丸々買い取り、互いのリスクをシェア(折半)する。受注側から見れば、戦略的な投資だ。

 仮に、受注側が10億円で当該部門を買い取ったとすれば、顧客企業は単純に10億円分のコスト削減が保証されたことになり、これを原資として、売上拡大に直結する投資に当てることができる。受注側は、買い取った部門の業務改革を遂行し、企業価値を高めることで“先払い”で支払った金額以上の価値の創造に努める――。

 加藤プリンシパルは、「ポイントは、買い取ったあと、当該部門の業務改革を遂行し、いかに企業価値を高めるか。これが、今後のアウトソーシングの“あるべき姿”。当該部門の企業価値が高まらなければ、買い取った側が一方的にリスクを負うことになり、アウトソーシングは成り立たない」と指摘する。次号では、具体的な事例を紹介する。(安藤章司)
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