元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第30回 システムサンワールド

2003/02/03 16:04

週刊BCN 2003年02月03日vol.976掲載

環境分野のパッケージソフト

 システムサンワールド(岡本旨弘社長、山口県徳島市)は、自社パッケージソフトの売上比率を2倍に増やす。昨年度(2002年9月期)売り上げ約19億円のうち、自社パッケージの比率は約15%。残り7割以上がソフトウェアの受託開発などだった。これを、今年度はパッケージの売上比率を30%に高める。

 自社パッケージの比率を倍増することで、売り上げは前年度比横ばいでも、経常利益ベースで1.7倍に増やす。受託ソフトの売上比率を意識的に減らし、パッケージの営業力、販売網を強化することで、利益率を高める計画だ。社員数は約80人で、このうち自社パッケージの販売人員は、これまで3人しかいなかったが、昨年9月には5人に増やした。

 主力パッケージは、「環境アドミン」。生産工場をもつ企業向けに、化学品や廃棄物の管理をするソフトで、(1)化学物質の収支管理、(2)化学品の安全管理、(3)エネルギー使用管理=原油換算量、二酸化炭素排出量の管理、(4)産業廃棄物の移動管理の4つの機能から構成する。

 植野敏明・ITソリューション部長は、「生産現場では、エネルギーと廃棄物は“双子の兄弟”みたいなもので、互いに密接な相関関係にある。この2つの収支を一元的に管理することで、環境負荷が少ない生産活動を実現する。ニッチな需要だが、今、まさに需要が高まっている」と手応えを感じている。

 環境アドミンは、受託システムとして95年頃から開発を始め、00年に自社パッケージとして製品化した。開発に当たっては顧客企業や広島工業大学工学部の北山正文教授の協力を得た。これまで、同社の本社がある山口県や広島県の工場プラントを中心に、大小約300社に納入した。20-30万円の小規模案件から、最大3000万円の大規模システムまで、環境アドミンに対する需要は幅広い。

 「化学物質やエネルギー、廃棄物などそれぞれ単体でのパッケージソフトは大手ベンダーでも扱っているが、統合的なシステムは当社独自のもの。だが、あまりに専門特化しており、この分野の専門知識をもつ営業担当者を育てるのに時間がかかるのが課題。客先で無知を披露するくらいなら、行かないほうがいい」と話す。

 今は売り上げの8割を地元の山口県や広島県で占めるが、今後は自社の営業担当者の育成や製造業の環境リスク管理に勉強熱心な販売パートナーを増やすことで、全国的に売り込む計画。(安藤章司)
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