大航海時代

<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第69話 人生いたるところに青山在り

2003/02/10 16:18

週刊BCN 2003年02月10日vol.977掲載

水野博之 立命館大学客員教授

 2003年の日本の政治はどうなるであろうか。まず言えることは、小泉内閣の支持率は暴落するであろう、ということである。小泉さんの改革への気持ちは了とするにしても、こう経済の実態が悪いと、国民の忍耐も限界に達するものと思われる。「構造改革が先か、経済回復が先か」という「卵と鶏」の論理が再び蒸し返されて、今度は鶏の方が勝ちそうな気配である。

 日本の世論はとかく雪崩を打つから、ひとたび「小泉バッシング」が始まると、われもわれもと始まっていく。ジャーナリズムの特徴として、根掘り葉掘り、ありとあらゆることを嗅ぎまわって、英雄が一夜にして凋落する恐れが大である。それも、米・イラク紛争の間は顕在化しないであろうが、それが収まる5月、6月頃に火を噴く可能性が高い。

 ただ、後は誰がやるか、となると、これはまた「帯に短し襷に長し」で、なかなか見つからんだろうから、ダラダラした政局が続く恐れなしとしない。こうなってくるともう政界再編である。まさに「構造改革」とは「政治改革」なり、と落ち着く先に落ち着くことになる。シュンペーターのいう「新しき組み合わせ、結合」が活力を生む、というテーゼの実験場に日本はなるに違いない。

 こんななかにあって、我々はどうしたらよいか。「どうしようもないやなぁ」なんて何処かの評論家のようなことを言ってみても仕様がない。かかる乱世こそ、自らの力を試す絶好のチャンスと心得るべきだ。いままでのレジューム(律法則)がとことんこわれる時代に生まれたことを、面白い、と思うべきなのであろう。変化の時代にこそチャンスなのだ。難しく考えないで、前向きに変化をとらえていく。「人生いたるところに青山在り」の心構えが大切だ。(神戸・湊川神社にて)
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