多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う

<多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う>3.NEC(下)

2003/08/25 20:43

週刊BCN 2003年08月25日vol.1003掲載

 NECは、情報セキュリティ分野で約80種類の製品・サービスを揃えている。その中で、今後伸びていくカテゴリーとしては、個人情報保護や情報漏えい対策などの内部セキュリティ関連製品・サービスを挙げる。

内部セキュリティとアウトソーシング

■今後のビジネス拡大のカギに

 同社は、ラインアップの明確化を狙いに、セキュリティ製品・サービスを4つのカテゴリーに分けているが、このうちウイルス対策など外部からの攻撃対策製品・サービスよりも、内部セキュリティのカテゴリーにあたる「『電子文書保全』、『認証プラットフォーム』の分野が今後急成長する」(木村道弘・IT基盤システム開発事業部セキュリティ技術センター長)と見ている。

 「電子文書保全」は、「紙文書に比べて証拠能力と原本性保証に課題がある」(同)ことから、電子文書の改ざんや漏洩、盗難などの防止を提供する11種類の製品・サービスを用意している。一方、「認証プラットフォーム」では、「なりすまし」などで、データの改ざんや盗難が起きるのを防ぐため、PKI(公開鍵基盤)を利用した認証プラットフォームなどを提供する。このほか、アクセスコントロールなど企業内からの情報漏えい対策製品も用意しており、14種類のラインアップを揃えている。

 現在のセキュリティビジネス全体の中で、「電子文書保全」は約10%、「認証プラットフォーム」は約30%の売上構成比率となっており、主力の外部攻撃対策製品・サービスに比べてまだ小規模。だが、この両分野が今後のセキュリティビジネスを牽引すると木村センター長は期待する。加えて、今後の展開で飛躍のカギに挙げているのが、アウトソーシングサービスだ。

 「管理者もいない、IT投資額も少ない中小企業や自治体では、アウトソーシングによるセキュリティサービスのニーズが着実に増えていく」(木村センター長)と、現在、徐々に需要が強くなっているアウトソーシングサービスが、今後主流になる可能性を秘めているという。NECでは、「Eソーシング」と題し、セキュリティ関連のアウトソーシングサービスだけを4カテゴリーとは別にメニュー化している。「認証プラットフォーム」は、アウトソーシングによる提供体制は整っていないが、「電子文書保全」や「サイバーアタック」などは、アウトソーシングでの提供に対応している。(木村剛士)
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