立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>2.大塚商会に見るECの流れ

2003/09/08 16:18

週刊BCN 2003年09月08日vol.1005掲載

 インターネットを使った流通が一般化する最大の目的は、物品や部材の調達や販売の効率が大幅に向上することだ。もちろん、ロゼッタネット標準を利用した電子商取引(EC)や、特定の調達先や顧客との電子商取引でも同様だ。ECを実現するためには、そこに参加する企業間で情報交換のルールや用語の統一などの規約を作らなければ効率化は達成されない。

 EDI(電子データ交換)を使って全社的な購入金額ベースの約75%、大口の顧客を中心に販売先企業数の約20%をカバーしているという大塚商会の場合、データをやり取りする企業の間で、運用ルールの標準化や用語を統一する辞書の策定に苦労してきた。

 早くから電子商取引を導入してきた同社では、限定した調達先やビジネスパートナー、大口顧客が対象だが、、受発注のミスが減るとともに、手続きの簡素化を実現した。さらに顧客に対して適切なデータをスピーディに提供でき、顧客サービスの向上という付加価値につながった。

 同社はEDI構築にあたり国内IT業界のEDI標準の策定に初期の段階から参加してきた過程から、B2B取引が増えればそれだけ標準化が重要になってくることも痛感している。そこでグローバル標準であるロゼッタネット標準に着目した。

 グローバル標準であるロゼッタネットを採用すれば、そこに参加する企業がそれぞれ標準に対応することが求められ、個別に交渉して標準化を図るという作業からは開放される。

 なかでも、大塚商会が注目したのは、技術情報の電子交換であり、手始めに自社にとっても効果的な電子カタログの交換によるビジネスの効率化である。さらに、ここで得たノウハウはソリューションプロバイダとしても大きな競争力強化につながると判断した。これらが大塚商会がロゼッタネットに関わる最大の理由である。

 2003年度版の情報通信白書を見ても、B2B取引は各業界で利用率が高く、非常に重要であることがわかる。B2Bの目的でもある、大規模なSCM(サプライチェーンマネジメント)には、メーカーから卸・流通業者、販売店、エンドユーザーまで多くの企業が参加しなければならない。そのために、技術仕様やスペックデータ、各種コードなど多くの業界間で共通的に利用されグローバルに通用する標準化が必要だ。

 グローバル標準のロゼッタネットの場合は、PIP(パートナー・インターフェイス・プロセス)で情報交換のためのワークフローや文書のガイドラインを規定し、RNIF(ロゼッタネット・インプリメンテーション・フレームワーク)で通信規約やセキュリティ案件を定めている。さらに、ロゼッタネット辞書にはビジネス辞書と技術辞書があり、ビジネス用語の規定や製品スペックの標準を品種別に定めている。

 技術辞書は電子カタログを策定するために、仕様の標準化が不可欠な部分。カタログ情報という公開データを標準化することは、さらにそのデータを広く提供できることにつながり、取引企業の拡大にも柔軟に対応できるメリットがある。

 こうした標準化について、次回は大塚商会でのロゼッタネット利用の実例を紹介する。(監修 ロゼッタネットジャパン事務局)

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