立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>6.今、アジアでホットな動き

2003/10/06 16:18

週刊BCN 2003年10月06日vol.1009掲載

 今や世界経済の中でアジア地域はハイテク商品の生産基地としても、消費市場としても、非常に重要な役割を担っている。

 ロゼッタネットの地域組織も、アジアでは日本、韓国、台湾、シンガポール、マレーシアに加え、今年3月にロゼッタネットフィリピンが創設され、9月17日にはロゼッタネット中国設立の調印が中国政府と行われた。2003年度では、各国の参加企業・団体数は日本100、韓国40、台湾84、シンガポール84、マレーシア51と、ロゼッタネットの全世界で500以上を数えるパートナーのうち、アジアがその63%を占めるに至っている。これらのアジア各国では、それぞれに自国の経済基盤・国際競争力強化、特に自国のIT化、B2B化による生産性向上、中小企業の競争力強化に取り組んでおり、各国の行政府では、IT化戦略の核の1つとして、ロゼッタネット標準の導入に、直接的・間接的に政府支援策を実施している。

 例えば、台湾ではIIIを基幹に、Plan-A~Dまでのロゼッタネット標準実装計画を組織的にも、資金的にも支援し、国家IT化計画の一環として推進している。マレーシアでは、PIP(パートナー・インターフェイス・プロセス)開発のためのPIP-Factoryを設立し、6人のPIP開発技術者を提供し、ロゼッタネット標準導入への資金援助、行政と連携した「電子通関申告計画:TIGERプロジェクト」をペナン州で推進している。シンガポールでも、導入企業への資金援助、インターネットでのロゼッタネット導入教育講座、さらには電子通関申告プロジェクトにも支援を表明している。フィリピンでも、電子通関申告プロジェクトへの参加を表明しており、そして韓国では導入企業への資金的支援、インフラ技術の開発支援を実施している。

 この動きの下に、アジア各国ロゼッタネット組織間では国境を越えた連携を進めつつあり、具体的には、電子通関申告ではシンガポールIDA、フィリピン政府、台湾IIIとマレーシアTigerプロジェクトでの連携検討を開始しており、環境情報交換および辞書活用に関しては台湾・韓国と日本での意見交換などが動き始めている。このようにアジア地域では、具体的なニーズを取り込んだロゼッタネット標準の導入を軸に、国境を越えた大きなうねりが起きている。(ロゼッタネットジャパン事務局 事務局長 辰尾 孝)

  • 1