大航海時代

<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第101話 家族

2003/10/06 16:18

週刊BCN 2003年10月06日vol.1009掲載

水野博之 立命館大学客員教授

 「家族」ということになると、アントレプレナーの最後のよりどころもまた「家族」である。あのファイアストーンが脱硫法に成功して大企業を作ったときの家族の協力は、まことに涙ぐましいものであったが、ファイアストーンだけではない。山内一豊の妻ではないが、夫の成功の陰には必ずといってよいほど夫人の内助の功があるものだ。一豊の妻といえば、今でも高知城内に銅像が立っている。つらつらその面を見るに、なかなかのもので、一豊よりこの妻のほうが大名にふさわしかったのではないか、と思われる。

 そういえば高知の女性は強い。酒で酔っ払わそう、なんて不逞のことを考えていると、あげ足をとられるのはこちらのほうだ、ということになる。本題に帰ると、逆に家庭の協力が得られないアントレプレナーの末路は悲惨である。米国では離婚を経験して再度復活をかける独身男女のコンドミニアム(アパート)がある。ここは、既婚者も未婚者も入れない。かつて1度、2度血にまみれた強者達が復活をかける場であって、ここで結ばれると次の成功率はかなり高いという。米国というのは面白いところで、何でもビジネスにしてしまうのである。一豊の妻がビジネスの種だなんて、とても日本では思いつきようがない。

 誰だい?そんなコンドミニアムがあるなら是非紹介して欲しい、といっているのは!!紹介してくれ、なんて情けないことをいうな!!自分でやる!!これがアントレプレナーたる必須条件である。ついでにいうと、日本でいう「マンション」という言葉は、あまり米国では使わないほうがよろしい。米国でマンションというと、森に囲まれた大邸宅をいうのであって、大変な金持ちであることを自称することになる。あくまでもコンドミニアムである。為念(ねんのため)。(京都洛北マンションにて)
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