多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う

<多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う>10.インターネットセキュリティシステムズ

2003/10/13 20:43

週刊BCN 2003年10月13日vol.1010掲載

 米インターネットセキュリティシステムズ(ISS)のメインビジネスは、不正侵入検知システム(IDS)。1997年に日本法人を設立し営業活動を開始した。法人、個人の両市場で製品展開しているが、個人向け市場はソフト販売のアクト・ツー(加藤幹也社長)に販売委託しており、日本法人は法人市場をターゲットに販売を手がけている。IDSは、ネットワークを常時監視し、不正アクセスを検知して通報するシステム。ネットワーク上を流れるパケットを分析し、パターン照合により不正アクセスを検出する。検知するだけで防御まではできないが、ウイルス対策やファイアウォールでは防ぎきれない不正アクセスを監視・分析できる。

統合セキュリティ製品に注力

■IDSベンダーからの脱却を図る

 運用にはシステム管理者に高いスキルが求められる。このため、「海外では幅広く導入されているが、ウイルス対策やファイアウォールが中心の日本国内ではユーザーの大半が大手企業。中小企業まで幅広く浸透しているとは言えない」(松崎義雄・コーポレイトディベロップメント・国内営業統括部長)という。このIDSを武器にしてきたISSが今、IDSベンダーからトータルセキュリティベンダーへの転換を進めている。同社では、今年6月に不正アクセスの検知から防御まで行うアプライアンス(使いやすさに主眼を置き機能を最適化した専用装置)を発表。来年にはウイルス対策やファイアウォールをはじめ、スパム対策、コンテンツフィルタリングなど複数の機能を包含したアプライアンスも投入する予定だ。

 それにともない「米本社を中心に組織体制を見直し、ハードウェアやIDS以外の知識を持つ人員を確保し、トータルセキュリティ製品ベンダーとなるための基盤を築いている」(松崎部長)最中だ。松崎部長は、「統合セキュリティ製品は今後のセキュリティ市場の主流になるのは確実。ユーザー拡大のためには、当社も複数の機能を提供する必要がある」と、方向転換の理由を説明する。日本法人ISSの昨年度(02年12月期)は、売上高約39億6800万円と増収にはなったものの、販売管理費の増大により営業利益は前年度比63.9%減と大きくダウン。97年の法人設立以来、初の減益となった。IDSで培ったノウハウを統合製品で生かせるかが業績回復のカギとなる。
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