立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>10.ロゼッタネットを支えるテクノロジー XML

2003/11/03 16:18

週刊BCN 2003年11月03日vol.1013掲載

 今回はロゼッタネットを支える最大の技術、XML(eXtensible Markup Language)について、その全体像を解説する。

 ロゼッタネット標準は、サプライヤーとバイヤー間の電子商取引で交換されるメッセージの記述で、このXMLをフル活用している。さらに、今後メッセージ交換のインターフェイス定義やウェブサービスやebXMLと呼ばれるオープン標準のメッセージング技術で、さらにXMLの活用を進めていく。XMLは、World Wide Webコンソーシアム(W3C)で標準化が行われ、1998年2月に正式なW3C勧告 XML1.0として発行された階層型の文書およびデータの表現形式である。

 XMLは、(1)仕様がオープンで、特定のITベンダーやコンピュータ・プラットフォームに依存しない(この特性は、ロゼッタネットのようなオープンな業界標準用の基盤言語として重要である)、(2)そのままでコンピュータにも理解可能で、スタイルシートをあてがえば人間も自由な書式を与えて読んで理解できる、(3)「標準化」により豊富な意味を持つメッセージが開発可能である、(4)メタ言語として究極の拡張性を持っている、(5)XML Schemaなどで記述される名前空間を利用した自己記述性(Self-described)を持つ、つまり自分で自分を説明できる文書やデータを定義できる、(6)既存の企業データ(主にリレーショナル・データベース)との間で、柔軟なデータ変換が可能である――という特性を持っている。

 これらの特性の中で、「XMLの自己記述性」が最も重要な特性である。XMLでは、データ要素をタグで挟んでその意味を示し、データ要素を入れ子にして要素の親子関係を定義する(図)。こうしたXMLのデータ型や構造の仕様は、同じくXMLシンタックスで書かれたXML Schemaを使用して定義することができる。XML文書のデータ仕様は、紙の文書に書かれているのではなく、こうしたXMLベースの定義体で書かれているので、コンピュータによる高度な処理が可能になっている。ロゼッタネットのようなサプライチェーン管理の自動化を目指す標準では、コンピュータ同士を高度に連携させる必要があり、XMLのような自己記述型の言語の活用が必須になっているのである。次回は、このXMLをさらに高度利用するウェブサービスとebXMLについて解説しよう。(大塚商会マーケティング本部Nビジネス推進室長 ロゼッタネットジャパン運営委員 岡部 恵造)

  • 1