立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>12.オープン標準との統合に取り組む

2003/11/17 16:18

週刊BCN 2003年11月17日vol.1015掲載

 ロゼッタネットが今導入を検討しているのが、オープン標準としてのebXMLやウェブサービスといったメッセージング技術フレームワークである。今回は、その導入の背景や目的について解説する。これまでロゼッタネットを導入した企業は、RNIF(RosettaNet Implementation Framework)と呼ばれるロゼッタネット独自開発によるメッセージング・フレームワークを利用してきた。

 ところが、前回解説したようにIT業界では、ebXMLやウェブサービスといったIT業界各社が大同団結して開発しているオープンなメッセージング技術の標準化が進んでおり、企業が電子商取引やサプライチェーンといったB2Bソリューションの実現において企業アプリケーション同士の連携を行う際には、こうしたオープンなメッセージング・フレームワークの利用を、業界では強く推奨している。

 こうしたなか、ロゼッタネットもIT業界の動向に会わせる形で、独自仕様のRNIFの新たな開発をやめ、代わりにオープン標準を採用しようとしている。そのメリットを大きくまとめると次のようになる。

 (1)ロゼッタネットの強みは、電子商取引企業間の合理的なビジネスプロセスの構築と、交換されるXMLベースのビジネス文書、およびそのベースとなる辞書の標準化にある。メッセージングの技術そのものは、業界標準的な最新の技術を採用することで、最も重要なコア技術への投資を高めることができる。

 (2)インターネットを利用するメッセージング技術は日進月歩で進化しており、ロゼッタネット標準を巧みにパッケージングして、いつでも最新のメッセージング技術を採用できるようにしておくのが理想的である。

 (3)ebXMLやウェブサービスといった標準を活用して、サービス指向アーキテクチャ(SOA)をベースとした新たなロゼッタネット・サービス・モデルとロゼッタネット統合アーキテクチャを開発し、これまで費用的に導入が難しかった中小企業などにも、ロゼッタネット標準の採用と実装をより容易にする取り組みが開始されている。

 ロゼッタネットは、こうしたメッセージング技術フレームワーク以外にも、コンテンツに関わる様々なタクソノミー(分類コード類)の採用を含めて、独自仕様からオープン標準への切り替えを行う「コンバージェンス(収れん)プログラム」と呼ばれる活動を展開している。(大塚商会マーケティング本部Nビジネス推進室長 ロゼッタネットジャパン運営委員 岡部 恵造)

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