多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う

<多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う>18.エムオーテックス

2003/12/08 20:43

週刊BCN 2003年12月08日vol.1018掲載

 エムオーテックスの主軸製品「LanScope Cat(ランスコープ キャット)シリーズ」は、1995年の発売以来右肩上がりの成長を続け、これまでに35万クライアント以上を販売した。クライアントパソコンのIT資産管理ソフトでは、草分け的な存在といえる製品だ。クライアントパソコンのハードとソフトのバージョン情報の収集や、ウィンドウズアップデートなどのファイル自動配布などのIT資産管理がメイン機能で、企業だけでなく、官公庁や自治体への導入も進んでいる。

IT資産管理市場の競争激化

■サービス事業進出も視野に

 現在では、バージョン4まで進化し、「報告・管理・監視という当社が創業以来掲げてきたコンセプトに基づき、製品開発を行っている」(荒井純一・営業本部営業部長)ことで、バージョンアップとともにアプリケーションやプリンタの稼動履歴管理、記録メディアの使用制限、ホームページ閲覧やサーバーの監視などの機能も備え、カバーする範囲が広がってきた。IT資産管理市場は、個人情報保護法施行や情報漏えい事件の多発から、今後も成長を続けていくのは確実だ。荒井部長は、「06年には02年の約6倍にあたる1000万クライアントまで伸びる」と大幅な市場拡大を予測する。

 成長の中でも荒井部長は「決して楽観視はしていない」と、気を引き締める。成長市場であることで、IT資産管理という言葉をキーワードに同様の製品を手がける新規参入ベンダーの登場があるからだ。荒井部長は、「製品力では劣らない自信はあるが、参入企業が最近になって急速に増えたことで、これまで以上に激しい競争を強いられている」と厳しい表情も見せる。競争を勝ち抜くために、同社が差別化要素として今後力を入れていく分野がサービス事業だ。

 製品のトレーニングやセキュリティ知識向上のための教育、プライバシーマーク取得支援サービスなどにも、事業の幅を広げていく方針。荒井部長は、「プロダクトだけでは、機能や価格ぐらいで差別化を図るしかない。だが、サービスを手がける体制を作ることで、総合的なセキュリティベンダーとしてユーザーに訴えかけることができる」と、その理由を話す。パートナー戦略に関しても、ディストリビュータとシステムインテグレータに分けた支援プログラムを来年度には確立する予定だ。(木村剛士)
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