立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>18.ソニーにおけるRN標準の導入

2004/01/05 16:18

週刊BCN 2004年01月05日vol.1021掲載

 1990年代後半からの家電商品のデジタル化の進展、グローバルな市場競争の激化に伴い、ハイテク商品のライフサイクルが3-6か月と非常に短くなり、ソニーでは従来の商品在庫を中心に据えた運用がすぐに不良在庫化する危機感が募っていた。それゆえ、製造工場では商品在庫・部品在庫をできるだけ少なくし、かつ市場のニーズに迅速に対応できる生産システムへの改革が急務だった。

 このため、これまで使用していた「ノンインタラクティブでバッチ処理のVAN-EDI」による調達システムでは限界があり、グローバルで効率的なサプライチェーンを支える新たな調達システムを検討していた。実際に01年4月の国内の組立系製造会社を統合した「ソニーイーエムシーエス(ソニーEMCS)」の発足を契機に、各工場の資材部門システムを新システムに統合する必要性が出てきた。

 時を同じくして00年4月、ロゼッタネットジャパン(RNJ)の発足に際し、ソニーは副代表として参加、ロゼッタネット(RN)標準導入の検討を開始した。(02年6月、ロゼッタネットジャパン代表に就任)01年2月、NEC、富士通、日立製作所、東芝、インテル、ソニー6社で、ロゼッタネットのマイルストーンプログラム「Order Management in Japan(OMJ)」を立ち上げ、受発注系プロセスからロゼッタネット標準の実装を開始した。その結果、02年1月、当時Machine-to-Machineでのビジネス情報交換で、グローバルに適用でき、最新のコンピュータ技術であるXMLを唯一実用領域に高めていたロゼッタネット標準を導入し、戦略的に資材調達システムを改革することが正式決定された。

 ソニーでは下図にのように、受発注から在庫情報交換、需給予測など、順次ロゼッタネット標準の適用プロセスを拡大し、04年度から設計技術情報の交換にも同標準での運用をスタートさせる。ロゼッタネット標準の導入に際しては、当然パートナー企業の方々の協力が不可欠である。パートナー企業とビジネス戦略も含めてWin-Winの関係を構築していくために、02年度に3回、03年度に2回のライブデモを入れたパートナー企業向け説明会を実施し、ロゼッタネット標準の導入効果を実感していただき、パートナー企業の方々の協力を得ることができた。さらに、今後は図のようにトータルなSCM(サプライチェーンマネジメント)構築に向けて、物流業者や金融機関との取引にもロゼッタネット標準の導入拡大を検討していく予定である。(ソニーイーエムシーエス グローバルプロキュアメント本部 ロゼッタネットジャパン運営委員副委員長 内藤 紀明)

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