“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>35.ミツイワ

2004/01/05 20:43

週刊BCN 2004年01月05日vol.1021掲載

 ミツイワ(飯田裕一社長)は、自社開発のERP(統合基幹業務システム)「グラシオシリーズ」と、サポート・サービス体系の「ミツイワ ソリューション アンド サービス(MSS)」を来年度(2005年3月期)の主力商材と位置づける。ここ5-6年、横ばいが続いている収益を再び成長路線に導くための“起爆剤”にしていく。

独自商材と地域密着で差別化

 具体的には、これまでに育成してきたグラシオシリーズの商品知識に精通した営業担当者「グラシオマスター」50人と、グラシオシリーズ専属の「エキスパート営業」10人をフルに活用して、売上増を図る。

 同社では、03年10月に中国・上海を中心としたソフト開発会社7社と業務提携を交わしており、これら中国のソフト開発リソースを活用する。これにより、グラシオシリーズのテンプレート集などの開発コストを安く抑え、他のERPパッケージとの価格競争力を高める。

 グラシオシーズは、約3年前に、それまで単体で販売してきた自社開発の会計や販売、人事給与パッケージを統合して開発した。単体で販売していた時期では累計1700本が売れ、統合後のグラシオシリーズになってからは、150本が売れた。

 飯田社長は、「150本の販売実績に加え、営業・開発体制を強化することで、来年度は新しく250本販売する」と、グラシオシリーズを主力製品に育てる考え。

 一方、サポート・サービスのMSSは、累計2500件の契約件数を来年度末までに累計4000件に増やす。全国10か所のコールセンターを駆使し、地域密着のサービスを展開することで顧客数を増やす。「大手システムインテグレータがコールセンターの集約化を図るなか、当社は逆に分散させることで顧客の需要を捉える」(飯田社長)と、特徴を打ち出す。

 ミツイワは、今年度(04年3月期)売上高370億円、経常利益11億円を見込む。ここ5-6年は年商360-380億円の間で推移していた。売上構成比は、コンピュータ販売やソフト開発などのシステムインテグレーション分野で5割弱、サポート・サービス分野が2割強、半導体販売が3割弱をそれぞれ占めている。

 デジタル家電などで半導体の需要が急速に高まっているものの、「売上高は伸びても、収益が見込めるかどうかは微妙」とし、システムインテグレーションやサポート・サービスのなかの独自商材を着実に伸ばすことで、次の成長に結びつける考え。(安藤章司)
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