“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>54.協立情報通信

2004/05/24 16:18

週刊BCN 2004年05月24日vol.1040掲載

 協立情報通信(佐々木茂則社長)は、4つのプラットフォームを活用して業績を伸ばしている。情報システムの基盤となるマイクロソフトとNECのプラットフォームに加えて、業務アプリケーションではオービックビジネスコンサルタント(OBC)の奉行シリーズ、モバイル通信の基盤としてはNTTドコモの携帯通信網を採用した。

「顧客系列」で支持を得る

 同社の顧客ターゲットは中堅・中小企業が中心であり、ゼロからソフトウェアや情報システムを開発していてはコストを押し上げて顧客企業から敬遠される。そこで、プラットフォームを4つに絞り込むことで、より効率的なシステム構築を実現。顧客からの支持を取り付けた。久野武男専務取締役は、「あれもこれもと取り扱いベンダーを増やすと社内資源が分散し、業務効率が悪くなる」と、ベンダーを絞る利点を指摘する。

 取り扱うべンダーを絞り込んでも、ベンダーの意向を顧客に押しつけることは決してしない。同社では、顧客と共に情報システムの在り方を考える場所として、東京都内に「東京IT推進センター」を2001年3月に開設した。ここでは、顧客が自らの手で情報システムを操作し、業務改革のソリューションとして何が最適なのかを共に考え、実感してもらうことで、顧客とのコミュニケーションを重視した営業に努めている。

「ベンダー系列の販売会社のような商売をするのではなく、あくまでも“顧客系列”が基本」(久野専務)と、顧客の利益を大前提にする顧客重視のビジネスに集中し、導入支援からアフターサポートまで一貫して手厚い顧客支援体制を構築した。こうした姿勢が顧客企業から評価され、昨年12月、OBCの販促キャンペーン「奉行フォーラム2003」の東日本地区で販売成績第2位の実績につながった。顧客満足度の向上が業績に結びついたわけだ。

 もう1つの強みはモバイル分野である。同社がモバイル通信基盤として採用しているNTTドコモ関連では、東京都内を中心にドコモショップやオリジナル店舗「ネットi」など10数店舗を運営。ただ携帯電話を販売するのではなく、情報システムと高度に融合させたソリューションとして提供しているのがポイントである。

 具体的には、商品管理の分野で奉行シリーズなど業務アプリケーションと携帯電話を連携させたり、情報系システムと携帯電話を結びつけて、外回りが多い営業担当者との情報共有を円滑にするシステムを開発するなど積極的に取り組んでいる。(安藤章司)
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