変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>21.アークン

2004/05/31 20:43

週刊BCN 2004年05月31日vol.1041掲載

 1-2年後にニーズが本格化する製品に焦点を絞る──。アークンは、多様化するセキュリティニーズのなかで、売りやすい流行のジャンルで機能や価格での差別化を追求するよりも、未開拓分野でいち早くリーディングポジションを築くことで、セキュリティビジネス拡大を狙っている。渡部章社長は、「セキュリティはどの市場よりも変化が激しく、新たなニーズがすぐに生まれる市場」と、新たなジャンルが次々と注目を集め、ニーズの移り変わりが激しい市場であると認識している。「内部情報漏えいという分野にフォーカスしているが、数年後にニーズが急拡大すると判断したユニークな製品しか揃えるつもりはない」と断言する。

未開拓の領域で勝負

 たとえ今は大きな需要がなくても、競合他社が開拓していない分野で先行することで、需要が出てきたときに優位性を確保しようという考えだ。製品は海外ベンダーからの調達を中心にしているが、必要があれば自社開発する体制も整えている。アークンの揃える製品は、現段階ではセキュリティ市場の中核製品でもなければニーズが拡大している分野でもない。近く販売開始する製品も含めラインアップの中で、パソコンに格納するクレジットカード番号などの個人情報を知らない間に送信してしまうコンピュータペストに特化したセキュリティソフトや、ウェブアプリケーションサーバー専門のファイアウォールソフト、パターンマッチングでは防ぎきれない未知ウイルスの検出ソフトなど、ニッチな製品が大半だ。

 この夏に発売する初めての自社開発ソフトとして電子ドキュメントの暗号化・認証管理ソフトを準備している。通常のドキュメント暗号化ソフトでは、暗号化と暗号解除の面でユーザーにとって煩雑で使い勝手の悪い部分があった。市場投入する暗号化・認証管理ソフトは、1年の開発期間をかけてユーザーに暗号化されていることを意識させないように操作性を向上させた。

 企業のセキュリティ対策のニーズを長期的にみた場合、「自社でシステムを構築するよりも、アウトソーシングなどのサービス分野へと移行するだろう」(渡部社長)と予測。まずは、販売パートナー数を現在の3-4倍まで拡大させるなど、流通チャネルの整備を中心に事業展開していく。それに加えて、新たなビジネスモデルとしてサービスビジネスの具体案を練っている最中だという。サービスでも「単なるアウトソーシングサービスだけでない、ユニークなセキュリティサービスを検討中」(渡部社長)と、“オンリーワン”戦略を貫きビジネス拡大を狙っている。(木村剛士)
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