大遊泳時代

<大遊泳時代>第37回 ケータイ1本、サラシに巻いてのユビキタス時代

2004/09/27 16:18

週刊BCN 2004年09月27日vol.1057掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 パパと子供が壁掛けテレビでカラオケ、ママはパソコンでテレワーク、これがネオファミリーの姿かもしれない。ウィンドウズが登場してパソコンは大衆化した。幾度パソコン機器やパソコン教室に無駄金を使ってきたことか。英会話と同じで責めるべきは自らであるが…。一方、カラオケは酒場のナイト市場とボックスのデイ市場に2分されるが、どうも子供を連れて行きにくい。家で少し練習したい。酒もタバコもないところで、夫婦であっさり唄いたい。こんな欲望をデジタル家電ブームが後押しして、再びホームカラオケ時代を迎えつつある。

 1980年代前半、先輩がパソコン通信と格闘をしていたが、NTTが80年代後半よりISDNを売り込み、さらにバスカラオケのMIDI音源から、94年カラオケのパソコン配信が始まった。もちろん難関は、ダウンロードの面倒さであった。そこで、2000年には専用メモリで唄えるカラオケマイク「e-カラ」が登場。子供市場中心に大ブーム。しかし、毎月の新曲をを増やすため、各社簡単なダウンロードに苦心している。

 そこへ今春より、デジタルテレビにBB(ブロードバンド)インターネットを接続。買物情報や教育もの…双方向サービスをする「Tナビ」が登場。その中に「ユメカラ」がある。これはファミリーマートでも実に簡単にダウンロードできる。

 今夏には、携帯にカラオケ機能がついたものが出てきた。結構唄いやすいから憎い。このことによりマイク単体がなくなったのである。カラオケ人口5000万人、家庭パソコン2500万世帯、携帯8000万人…。いよいよ総ユビキタス時代となって1台の「端末」という化物で電話、メール、デジカメ、ムービー、カラオケ、電卓、手帳、電子マネー、チケット…なんでもござれ──。ワトソン君よ!!「昔は、包丁一本、サラシに巻いて~といったね。今はケータイ1本、懐に入れて~かね」。「そうですね。ナントカに刃物、いやマニアにケータイとなりますね」。
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