去る9月27日、法務省は人名用漢字に「苺」や「舵」など、488字を追加するよう、戸籍法施行規則をあらためた。この際、これまでは「当分の間」と、条件付きで使用を認めてきた旧漢字205字も、正式なものに格上げされた。人名用漢字は、983字となり、名前に使える漢字は、常用漢字の1945字とあわせて、2928字に広がった。人名用漢字の拡大は、単に名付けのみに関わる問題ではない。公用文や出版などで、通常用いる漢字の範囲や字体にも関連する。電子図書館における、漢字の使い方にも影響を及ぼす。筆者が関わる、著作権切れ作品の電子化プロジェクトでも、改訂を受けて漢字の扱いをどう見直すか、検討を始めた。まず、新しい人名用漢字表をテキスト化してみると、現在のパソコンの標準文字環境といってよい、第1第2水準の漢字を決めたJIS X 0208にないものが105字あった。
人名用漢字のすべては、第3第4水準を決めたJIS X 0213の範囲に収まっている。ウィンドウズ98、Me、マッキントッシュOS 9以前用には、0213の2004年改訂に対応したシフトJIS対応のフォントが提供されれば、問題は解決される。次期ウィンドウズには、0213のサポート。2000からXPまでは、アプリケーション側でのシフトJIS-ユニコード変換による0213対応。マックOS Xにも、0213の2004年改訂への早期追随をお願いしたい。