視点

光ケーブル奮戦記と「C&C」

2004/12/13 16:41

週刊BCN 2004年12月13日vol.1068掲載

 1か月程前に自宅のスモールオフィスに光ケーブルを導入した。それ以前の約4年半はケーブルテレビ経由でインターネットに接続していた。すでにADSLが盛んであったが、私はこれに対して警戒心が強く、確実なCATVを一時期使っておいて、それから光に乗り換えようという魂胆であった。やっと時来たれりの思いがあり、とりわけ嬉しい。

NTT東日本には光ケーブルを屋内に引き込みONU(Optical Network Unit)で受けるまでをお願いした。無線機能をもつルータ、LANケーブルを介したパソコン、無線LANを通したもう1台のパソコン、IP電話親機と子機、新たなISPへの加入・・・これらの接続・設定を自分でやってみることにした。

 マニュアルと首っ引きで奮闘すること、お昼を挟んで5時間。こんなことを素人にやらせなくても良いのにと、いくつかの不平は残ったが、意外や、いともすんなり動いたのである。いくつかのウェブサイトへの接続、メール送受信、IP電話、無線LAN接続パソコンの動作、いずれもOKである。実効性能で35Mbpsが得られているし、IP電話の品質も文句はない。立派なミニホームオフィスが出来上がった。かつてノートパソコンのウィンドウズセットアップを試み、とうとうギブアップ、専門家に泣きついたことがある。それを思えば「素人に使い易くする技術」の進歩は著しい。

この小さなホームオフィス見ていると、改めて「C&C」を思い出す。1977年米アトランタで開催されたインテルコム'77において、通信・コンピュータ事業界の重鎮、故小林宏治博士は基調講演のなかで「近い将来における通信とコンピュータの融合;C&C」を発表され、爾来この言葉は世界に広く深く浸透した。

このささやかなホームオフィスが、27年を経た今日、「C&C」が身近な現実のものになったことを私に感じさせるのである。必要な基本技術・製品つまり高速な通信とコンピュータ、美しい液晶ディスプレイとプリンタ、小型大容量のストレージ等々全てが日用品のレベルで揃ったのである。十分なセキュリティ対策が施されたマルチメディア・双方向通信・データ処理システムが各社工夫を凝らし本当に役に立つ「C&Cシステム商品、アプリケーション」を出してくるであろう。本当の勝負はこれからだ。誰が真の勝者となるだろうか、5年後が楽しみである。
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