未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>8.リコーシステム開発

2004/12/20 20:43

週刊BCN 2004年12月20日vol.1069掲載

開発プロセス見直しで利益確保

 リコーシステム開発(RSK、高田外志男社長)は、リコーグループのソフト開発会社で、メインの事業は受託ソフト開発。親会社のリコーから受注する受託ソフト開発事業が、全売上高の約80%を占める。残りがエンドユーザーを対象としたソリューション販売と、パッケージソフト販売ビジネスだ。

「ネットバブルの崩壊後、受託ソフト開発の単価下落が止まらない。低価格要求は、リコーとエンドユーザーの両方からくる」と、高田社長は厳しい市場環境を打ち明ける。安定的な受注が見込めるメーカー系ソフト会社でも苦しいビジネス環境は変わらない。

 日増しに強まる低価格要求に耐え、着実に利益を上げる体質を作るため、RSKが取り組み始めたのが、品質向上とコスト削減のための開発プロセスの見直しだ。

 約3年前、受託ソフト開発のプロセス検証からスタートした。具体的には、見積もり段階で予想したコストと実際の開発コストの差額を「Fコスト」と定義。すべての案件でFコストを算出した。

 Fコストの差が大きければ、プロジェクト管理が徹底していなかったことを意味する。仕様書の曖昧さなどから予期せぬ再開発案件が発生した場合、Fコストは一気に膨れ上がるわけだ。「ソフト開発のプロセスをきちんと把握する術がこれまではなかった。Fコストの数値は指針となる」(高田社長)。

 このほか、新たな開発手法として「RAP(ラップ)」を採用した。さらに、ソフト開発の能力成熟度を評価・判定する国際指標「CMMI」のレベル4(5段階評価。最高レベルは5)の取得にも動いている。「来年の5-6月までにはレベル4を取得する見込み」(伊藤淳一・事業戦略室SPI推進グループリーダー)という。

 開発プロセスの見直しとともに、今後力を入れる施策が、自社営業強化によるエンドユーザー向けソリューション販売の拡大だ。全売上高の20%しかないエンドユーザー向けビジネスを2007年度(08年3月期)には30%まで引き上げる計画だ。

 現在、リコーの販売チャネル経由で案件を獲得しているケースもあることから、営業担当者は5人しかいない。だが、07年度までには20人に増やす方針だ。1000人以下の中堅企業をターゲットに、リコーグループの強みであるドキュメントソリューション販売を中核として、自主ビジネスを強化する。(木村剛士)
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