IT Stock Frontline

ソニー、業績を下方修正 その影響は限定的

2005/01/31 16:04

週刊BCN 2005年01月31日vol.1074掲載

ブランド力回復がカギ

 東京市場にショックを与えたソニーの業績下方修正。2005年3月期の連結営業利益は従来予想の1600億円を500億円下回り1100億円になると1月20日に発表した。ソニーの株価は外国人投資家の姿勢高まりなどを背景に約5か月ぶりとなる4000円台に復帰したところで上昇期待が高まっていただけに、失望売りに急落した。

 業績下方修正の要因はソニーによると、①テレビ、DVDレコーダー、ビデオカメラなどで想定以上に価格下落が進んだ、②半導体およびコンポーネントの需要が外販市場を中心に減少、③携帯オーディオの売り上げ、利益が競争環境の変化で見通しを下回る──など。もっとも、昨年10-12月にはデジタル家電業界全体で単価の下落が進んでおり、ソニーの下方修正は重要部品の内製化に遅れた同社独自に要因が大きいようだ。

 ソニーの下方修正を受けて、他のハイテク株が軒並み売られるという展開にはならず、03年4月に大幅な業績下方修正で株式市場全体が急落した“ソニーショック”の再現とはならなかった。

 これは株式市場におけるソニーの存在感が薄れていることを示す。時価総額でもソニーは約3兆5000億円と昨年は松下電器産業に抜かれ、日本企業トップのトヨタ自動車の4分の1以下。海外企業との比較ではサムスン電子の半分に過ぎない。海外では映画、ゲーム関連企業としてのイメージが大きくなっているソニー。国内でのエレクトロニクス分野でのブランド力回復が収益向上のカギを握る。

 一方、ハイテク企業などの10-12月期決算の発表が2月上旬にかけて相次ぐ。1月27日のNEC、セイコーエプソン、28日のキヤノン、富士通などに続いて31日にはパイオニア、オリンパス、2月1日にシャープ、2日に日立製作所、ヤマダ電機が予定されている。(有賀勝久)
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