IT Stock Frontline

ハイテク各社、業績を下方修正

2005/02/14 16:04

週刊BCN 2005年02月14日vol.1076掲載

デジタル家電の価格下落が影響

“利益なき繁忙”状態

 ソニーに続いてハイテク企業に業績下方修正が相次ぎ、デジタル家電業界の変調が目立ってきた。

 プラズマテレビなどの価格下落の直撃を受けたのがパイオニア。2004年10-12月期は営業利益が16億円と前年同期の166億円の10分の1に激減。通期については従来予想の営業利益270億円を20億円へと大幅に下方修正した。パイオニアはNECからプラズマテレビ事業を買収するなどデジタル家電分野に経営資源を集中させていたことでダメージが大きくなった。プラズマテレビの通期の販売台数は80%もの伸びを見込んでおり、まさに“利益なき繁忙”状態に陥る。

 デジタルカメラの依存度の高い企業の収益悪化も厳しい。05年3月期の営業利益はオリンパスが45%減、三洋電機が37%減の見通し。京セラもデジタルカメラや携帯電話端末の価格下落の影響を受け、05年3月期の税引き前利益は1000億円(前期比13%減)と従来予想(同22%増の1400億円)から大きく落ち込む見通し。

 デジタル家電の価格下落は部品メーカーにも波及。半導体大手のエルピーダメモリ(NECと日立製作所の共同出資)も業績下方修正を余儀なくされた。

 もっとも、ハイテク企業すべての業績が悪化しているわけではない。好調が際立つのがシャープ。04年4-12月期の営業利益は1140億円(前期比25%増)に達した。エレクトロニクス部門の売上高が12%伸びるとともに、液晶部門が32%増と拡大したのが貢献した。シャープの場合は液晶パネルを自社生産しており、製品価格の下落を生産コスト削減で吸収できるのが強み。その意味で対照的なのがソニー。液晶パネルの調達をほとんど外部に頼っており、調達販売数量が伸びたにもかかわらず大きく利益を減らしている。(有賀勝久)
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