未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>28.リンク

2005/05/23 20:43

週刊BCN 2005年05月23日vol.1089掲載

余剰在庫の圧縮支援

 余剰在庫の削減は、製造業や卸売業などが抱えている経営課題の1つだろう。リンク(南谷洋志代表取締役)は、在庫の管理・最適化を支援するパッケージソフトに特化し、事業展開しているソフト開発会社だ。

 南谷代表取締役は、「在庫を管理できるソフトや情報システムはいくらでもある。だが、余剰在庫の削減、つまり在庫の最適化を支援するパッケージソフトはありそうでなかった」と話す。このことが、現在の事業に焦点を絞ったきっかけになった。

 リンクの主力パッケージソフト「Zaiko(ザイコ)-21」は、在庫数と在庫にともなうキャッシュフローを一元管理する。実際の在庫数と計画値を照らし合わせることで、余剰在庫をはじき出す。さらに、過去の発注数や、その時に発生した無駄な在庫データなどを元に需要予測数値を作成し、次回の発注時にはこの数字を発注数の選定に役立てることができる。

 キャッシュフローと連動した在庫管理機能と操作性、見やすい画面表示が受け入れられ、これまで50社以上に納入した実績を持つ。ある卸売業の顧客では、「ザイコ-21」を導入したことで、余剰在庫を約30%圧縮でき、発注関連の業務時間が導入前に比べ約40分の1になったデータもあるという。また、横浜商科大学や上智大学では、在庫管理に関する講義の教材としても使われている。

 直接販売と販売パートナーを通じた間接販売を手がけるが、全体の約70%は間接販売が占めている。販売パートナーは、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)や日立製作所など約20社。販売パートナーのなかには、在庫管理のコンサルティングサービスを提供する際のツールとして利用するITベンダーもある。

 現在のラインアップは、「ザイコ-21」のほか、ウェブ対応の2製品を拡充した。さらに、年内には製造業向けとパーツセンター向けに特化した在庫最適化パッケージソフトも提供する予定で、製品数の拡充で販売強化を図る。

 直接販売ではパッケージソフトの提供だけでなく、パッケージソフトを活用した在庫最適化のためのBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスも提供開始した。単なるソフト開発・販売ベンダーの枠を超えたビジネスモデルも確立しつつある。(木村剛士)
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