未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>54.クラスキャット

2005/11/28 20:43

週刊BCN 2005年11月28日vol.1115掲載

EC構築サイトパッケージ開発に強み

 クラスキャット(佐々木規行社長)は、マイクロソフトでOSの開発を担当していた4人が創業メンバーとなり、1995年に設立されたソフト開発会社である。同社は、EC(電子商取引)サイト構築パッケージソフトの老舗ベンダーだ。まだEC市場が今ほど活況でなかった97年に初期バージョンを発売し、現在にいたるまでの約8年間、開発を重ね、販売を伸ばし続けている。

 創業後3年間は、ITベンダーの下請けとして受託開発しか事業化していなかったが、97年にBtoCビジネス向けECサイト構築パッケージ「Personal Web Shop」を開発。9万8000円で発売した。その当時は、「ECサイトの構築に数億円規模の投資が必要で、納期も半年以上が当たり前だった」(佐々木社長)ことに着目。「(開発した経緯はパッケージが)他にないという単純な理由だった」が、発売当初から引き合いは急増。ピーク時で「月間1000ライセンスは販売していた」という。

 今では類似製品を開発するベンダーも多く、競争は当然激化しているが、急成長するEC市場が新たな顧客ターゲットを生み出しているという。それは、「楽天の卒業生」。

 「大手のショッピングモールサイトでECビジネスを経験した企業は、ショッピングモールでは独自性が出ないという不満を持ち、自らECサイトを持ちたいと感じ始めている。最近の当社のターゲットは、ECビジネス初心者ではなく、大手のショッピングモールサイトでECを経験した企業」と佐々木社長は説明する。

 ブラウザから管理できる容易な運用方法や、パッケージを提供する前に顧客の要望を反映させた形で出荷する独自のカスタマイズサービスが受け入れられた。丸紅インフォテックや日本アイ・ビー・エム(日本IBM)のビジネスパートナーなどを通じて今でも販売を伸ばしている。

 さらに、BtoCビジネス向け製品だけでなく、企業間取り引き用のBtoBパッケージも3種類用意しており、ラインアップの強化を進めてきた。01年には「IBM Solution Excellence Award Japan」優秀賞を受賞した実績も持つ。

 創業時に集中していた受託ソフト開発事業が「ネットバブルなどの影響で開発者が足りなく、案件を捌ききれなかった」ほど好調だったにも関わらず、独自商品にこだわり続けてきた。今ではLinuxサーバーの管理ツールなどもラインアップに揃える。

 企業規模は大きくなく、開発・営業体制も決して潤沢ではないが、時代に先駆けた独自商品に今後も集中する。(木村剛士)
  • 1