オフコンと決別

新システム導入で在庫削減

 ペンチ・ニッパーの製造で国内トップクラスのシェアを誇るフジ矢(東大阪市、野崎恭伸社長)は、リース切れしたオフコンを捨て、新たに生産管理システムを導入した。

 これまで課題だった過剰在庫の発生を解消し、生産リードタイムの短縮に成功。市場動向を反映した新製品をより多く市場投入できるよう生産体制を強化した。ホームセンターなど新しい流通チャネルにも積極的に適応するなどして業績を伸ばしている。

 オフコンのリース切れが目前に迫っていた2000年頃、経済産業省などが推進していた中小企業向けの情報化投資活性化支援事業・ITソリューションスクエアプロジェクト(ITSSP)の関連セミナーに参加した。これが古いオフコンに見切りをつけ、本格的な生産管理システムを導入するきっかけだった。

 オフコンでは請求書の発行など事務処理の省力化がメインだったが、セミナーでは自社の新製品の企画や生産計画の立案など事業拡大に向けてITを役立てるべきだと説かれた。

 振り返ってみると、自社の納期管理は甘く、在庫は過剰気味だった。マーケットは多品種少量を求めており、生産から販売までのリードタイムの短縮化が課題となっていた。

 生産技術そのものには自信があったが、社内のコスト意識は必ずしも高いとはいえなかった。折しも赤字が2年続くなど厳しい経営状況であり、「ITシステムを活用して、業務プロセスを根本的に変えなければ勝ち残れない」(野社長)と危機感を抱いた。

 セミナーで知り合ったITコーディネータの川端一輝・ITC-Labo.理事長に業務分析の協力を依頼し、自社の強みを最大限に生かすITシステムのRFP(ITベンダーに対する情報システムの提案依頼書)を作成に取りかかった。多品種少量への対応や生産リードタイムの短縮、在庫削減の目標を定め、どうしたら達成できるのかを表計算ソフトのエクセルを使って検証した。

 ペンチやニッパーの製造工程は平均すると約60工程ある。鍛造や機械加工、刃の取り付け、強度を増すための焼き入れなどの表面加工を何度も施すなど細かな作業を積み上げる。特殊加工は専門の協力会社に出すこともあるため、製品によっては自社工場と外注先の工場との間を何度も往復する。

 フジ矢では約400アイテムを製品化しており、製品1つ1つについてエクセル上で丁寧にシミュレーションして納期短縮を目指した。また、おもだった社員を集めて業務プロセスを図式化。情報システムのデータの流れを示すデータフローダイアグラム(DFD)を作成した。ITベンダーに丸投げするのではなく、自己分析に十分な時間を費やしたのだった。(つづく)(安藤章司●取材/文)