美しい自然の保護 再生に向けて

<美しい自然の保護 再生に向けて>6.千葉県一宮海岸と景観改修保全

2006/08/14 16:04

週刊BCN 2006年08月14日vol.1150掲載

 九十九里浜の南端、一宮海岸は白砂青松その名のごとく、遠浅の広い砂浜と幅100メートルの緑の県有松林が続く、美しい景観が展開されていました。私はその絵のような景観に魅せられて、ここにリゾートホテルを建設しオープンしました。それから20年、ホテルは盛業を続けていますが、残念ながら松林は環境変化や松喰い虫による立ち枯れが多く、雑草が生い茂って見るも無惨な荒れ地になってしまったのです。また、あれほど広々と遠浅だった砂浜も、波に侵されて、砂の崖地になってしまった。当時を知る者にとっては、余りにも悲惨な荒廃ぶりで、哀惜の感に堪えず、何とかかつての美しい景観を取り戻したいと想っていました。 

20年前の美しい砂浜と青松

 何度か役所と接渉した結果、私費で改修保全を行うことになりました。保安松林については枯木を伐採し、排水溝を造ることで水捌けをよくして、樹勢を回復させ、そのうえ花木の植樹と遊歩道を整備するなどして、四季を通じて楽しめる「遊歩公園」を創りたいと考えています。

 また、一宮川河口の干潟については、アラスカやオーストラリアからの貴重な渡り鳥の飛来地として知られており、それらの餌になる海浜魚介類も豊富にある。かつては西の大磯と並びはやされた保養地であり、斉藤実首相や平沼騏一郎首相、大河内正敏博士など、多くの名士たちの別荘が立ち並んでいた景勝地でした。今は忘れられているこの貴重な景勝資源を、改修復元して、再びかつての名声を取り戻したいと想っています。

 行政や地元の有志たちと力を合わせ、ぜひこれら2つの再生事業を成功させたいと願っています。(大塚商会名誉会長 大塚 実)

荒廃した松林の現況

一宮川河口の干潟
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