未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>93.セキュリティフライデー

2006/09/18 20:44

週刊BCN 2006年09月18日vol.1154掲載

ハッカー的視点でソフトを開発

 セキュリティフライデー(佐内大司社長)は、ビル空調などを手がける創業100年の山武(小野木聖二社長)の社内ベンチャー制度から生まれた。

 2000年、山武の研究所内にネットワークセキュリティのチームを立ち上げ、ウィンドウズで構築した企業内ネットワークのセキュリティ関連の研究をスタートした。01年には、米国で行われたハッカーやFBIなどが参加するセキュリティ技術会議「ブラックハット」で研究成果を発表した。この会議で発表を重ねるごとに知名度が高まり、海外の研究者とメールで情報交換するようになり技術的なノウハウを蓄積していった。

 03年に起業。ウィンドウズのネットワークを監視する「VISUACT(ビジュアクト)」とパスワードの教育用ソフト「認術修業」を売り出した。

 ビジュアクトは、ネットワーク上でパケットをキャプチャーし、ファイルサーバーへのアクセスログをとるソフト。発売当初は製品の考え方が時代を先取りしすぎたため「売れなかった」という。だが個人情報保護法の施行や内部統制強化などが追い風となって、昨年度(06年3月期)の売上高は1億円に達した。04年にギガビットネットワーク対応の「ビジュアクトG」を発売し、500社近くが採用する。今年6月には、その機能を踏襲し100Mbpsネットワーク対応限定モデル「ビジュアクトF」を発売した。

 一方、「認術修業」は「強い信念を持ってつくった」と振り返る。情報漏えい事件・事故はパスワードの盗難で起こる場合が多い。ハッカーに破られるか否かがパスワードの強さであるとし、破られにくいパスワードの作成を支援する。まずハッカーのパスワード推測アルゴリズムを解析。使っているパスワードが破られる時間などを診断する。次いで強いパスワードをつくる支援をし、つくったパスワードを文字の中に隠して安全にメモする。数字には結びつかないが、メディアの露出度は高く広告塔の役割を担う。

 また、01年から世界的に有名なネットワーク盗聴検出ソフト「PromiScan(プロミスキャン)」も公開しており、FBIから高評価を得ている。 

 売上構成は99%がビジュアクトだが、著名な製品を販売し続けることは会社の信用度を高めるうえで重要と考える。強みは「ハッカー的視点でモノをつくる」こと。「技術力があればソフトは売れる。一般の人にソフトの価値観を認知させたい」と今後もソフトづくりにこだわる。今年度(07年3月期)は売り上げ2億円を目指す。(鍋島蓉子)
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