新商材の開発パワーを創出

 基幹業務システムを全面刷新する手すり専門メーカーのイズミは、自らが目指すべき経営指針について議論を重ねた。その結果として、主力の手すり事業を引き続き伸ばすのと並行し、新しいジャンルの商材を開発することが命題であると位置づけられた。1500社余りの顧客数をさらに増やすことでビジネスを拡大させる方針が経営トップから打ち出された。

 実現するためには受注から出荷に至る販売管理を強化し、在庫を圧縮。キャッシュフローを改善し、業務を効率化することで新規商材を開発する余力を蓄える必要がある。

 具体的には在庫管理と出荷ミスを減らすために、バーコードで商品を管理する仕組みを新たに導入。また、電話と顧客管理システムを連動させるCTI機能も強化し、電話での問い合わせへの対応力を高める仕組みを拡充する。顧客管理システムやネットで受発注データを交換するウェブEDI(電子データ交換)の増強も盛り込まれた。

 これまで外部に委託していた会計業務については、社内で行う「自計化」に切り換えた。財務情報をいち早く把握し、より迅速で的確な経営判断を下すためだ。「情報システムのほぼすべてを刷新する大型プロジェクトになった」(営業部の島田誠・福祉住環境コーディネ-ター)。

 ITCの合田郁夫氏の指導の下、要件定義とITベンダー向けの提案依頼書(RFP)を作成。同時にかねてから準備を進めてきた業務フローの標準化に向けた社内用マニュアルづくりに着手した。単純に人員を増やすのではなく、作業の標準化とITを活用した効率化によって新商材の開発パワーを創出し、販路拡大でビジネスを伸ばすことを主眼に置く。大きな方向性を固めてから、「システム全体を最適化する」(合田氏)考え方だ。

 開発に当たっては15社ほどのITベンダーに見積りを依頼した。だが、カスタマイズなど個別にソフトを開発する領域が大きいのに比べて納期が短いなどの理由で、半数余りのベンダーが辞退。ゼロから開発していたのではイズミが求める納期に間に合わない。

 選別を進めた結果、カスタマイズが容易で財務会計や販売管理に強いPCAの基幹業務ソフト「PCA Dream(ドリーム)21」をベースにする手法を柱に据えた、地元有力SIerのフリー・スタイルが最後に残った。イズミ側もパッケージをベースにすることを望んでおり、「意見が一致した」(フリー・スタイルの西野哲治社長)。バーコード管理や自計化は新規に導入するものだが、EDIやCTIなどは既存システムの拡張で対応することで開発工数を削減した。

 今年から本格的に開発が始まり、7月に本稼働を目指す。システムやマニュアルありきの議論を改め、明確化した企業ビジョンをベースにシステムを全面的に見直す。経営を軸に全体最適を図るITコーディネータの役割が生きた事例である。