次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>65.丸紅インフォテック(上)

2008/07/28 20:42

週刊BCN 2008年07月28日vol.1245掲載

モノへのこだわりを形に

 丸紅インフォテックは「monoDO」というコンセプトで、デザインや機能性にこだわった木製のUSBメモリやステーショナリーのブランド「Hacoa」などを展開している。ディストリビューターは、大手メーカーなどから、モノを大量に仕入れて安く顧客に提供することが多い。こうした売り方に疑問を感じたことが「monoDO」の誕生につながった。

 「『monoDO』の読み方は、モノドーでも、モノドゥーでも。お好きにと任せています」と尾崎匡晃・MD本部マーケティング部 部長補佐兼企画開発課長は言う。「モノの道」という意味もあれば「モノをドゥー(楽しむ)」、「モノ、どう?」という意味まで含まれている。いわば理念であり、製品シリーズ自体にはメーカーや工場を生かすため、それぞれのブランド名が付いている。

 モノの大量販売ありきの時代。時代の流れやタイミングなどさまざまな要素が絡み合ってヒット商品は生まれる一方、どれか一つでも欠けてしまえば世の中に受け入れられない。尾崎氏は「ふと立ち止まって、疑問に思った」という。モノにこだわり、長く使っていたいと思わせるいいモノを見極めて、良さを理解してくれる人に売りたい。昨年の4月から漠然と考え始め、6月から形にすべく、動き出した。

 比較対象は何もない。「いける、いけないは直感に頼るしかなかった」(尾崎氏)。既存の顧客である量販店ではなく、インテリアショップや、雑貨屋などまったく新しい顧客を回って意見を聞いた。雑貨屋や文具店を選んだのはPCショップのようにスペックイコール価格に結びつかず、同じボールペンでも、1本100円のものもあれば、いいモノになれば10万円もの値がつく世界だったからだ。

 店舗で取り扱うかどうかは慎重そのもので、反応は微妙だった。だが説明している間、バイヤーが商品の木製USBメモリをいじり続けていることに気がついた。「手触りがいいことに気をとられたのでしょう。『聞いてます?』と確認したくなるほど、うわのそらだった」と振り返る。

 社内で、役員を前に説明したのは昨年9月。丸紅インフォテックは47年間の歴史のなかで、USBメモリやIPodケース・・・今までなかったモノを世に送り出し、スタンダードにしてきた。初めての取り組みで先が見えないにもかかわらず、むしろ賞賛され、企画のゴーサインが出たのは、丸紅という企業が醸成したDNAのおかげなのだろう。(鍋島蓉子●取材/文)
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